不器用すぎて愛しくて。

不器用28 ページ28

Fuma






.









ドクン、と心臓が跳ねて

聞こえた言葉に耳を疑った。









だってこいつは

松島が好きで。









俺は

迷惑しかかけてこなくて。









「……だからもう、避けないで｣
　





｢寂しい、｣









力ない笑顔で

ヘラ、と笑って見せる。








涙は今も流れ続けてて

感情が分からなくなる。









何か言わなきゃと分かっていても

うまく、言葉が出てこない。









＿＿＿俺は、？








どう思ってる？









自分に問いかけてみれば

今までのこいつの









怯えた顔が、

驚いた顔が、

困った顔が、

泣き顔が、

照れた顔が、

笑顔が、









浮かんでは、消えていく。









本当は、気付いてたんじゃないのか？









守りたいと

傷つけたくないと

願った時から。









嫌われることも

怖がられることも

慣れたと思い込んでいた俺は









自分の気持ちに蓋をしたんだ。









……素直になることが、怖くて。









「俺は、」









言いかけた言葉を

飲み込んだ。









.









.









「おい、」









.









.









「……寝んのかよ」









自然と笑みがこぼれて

俺を掴んでいた腕をそっと離した。









「……また今度な、？」









布団を静かにかけて

俺は部屋を後にした。









.

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