不器用すぎて愛しくて。

不器用21 ページ21

Fuma





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きっと、これで良かった。









あいつに少しでも

近づいた俺が、悪かったんだ。









手を振り払ってしまった時の

表情が離れない。









背を向けた教室から

鼻を啜る音だけが聞こえてくる。









なんでいつも

人を傷つける事しか出来ないのかと

自分が嫌で嫌でしょうがなくなった。









小さいときから、そうだった。







誰も俺が怖い怖いと

近づいてこない。









茶色く染めた髪も

耳に開けたピアスも

全部、自分を守るためだった。









誰も近づいてこなければ

誰も傷つけることなんてないと

分かっていたのに。









どうしてあの時

声をかけてしまった？






どうしてあの時

抱きしめてしまった？









「分かんねぇ、」









自分で自分が分からない。









ただ、離れようと思ったのは

先輩の、たった一言。









『お前の可愛い彼女、どうしよっかな』









すぐに分かった。

あいつのことだって。









やっぱり俺は

誰かを傷つけてしまう。









側にいて笑ってくれたやつまで

俺の心配なんかしてくれたやつまで

傷つけてしまう。









だったら

そうなるくらいなら

嫌われた方が、マシだ。









馴れた事。

一人でいることなんて。









なのに、

あいつの笑顔を探してしまうのは

あいつの声が聞きたくなるのは









何故なのか

俺にはさっぱり分からなかった。









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