不器用すぎて愛しくて。

不器用15 ページ15

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「菊池、大丈夫か？」









先生が呆れたように先輩を見つめたあと

菊池くんに目線を合わせる。









「大丈夫です」









明らかに大丈夫には見えない菊池くんに

先生は苦く笑って私を見る。









「保健室、連れてってもらえるか？
　後のことは俺に任せとけ。」









いつになく真剣な先生に頷いて

菊池くんの肩に手を回す。









よろよろと立ち上がった姿を見て

どんなに痛かっただろうと切なくなって。









私は唇を噛みしめながら

保健室まで歩いた。









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「座れる？」









先生はやっぱり大事なときにいない。






菊池くんがゆっくりと座るのを視界に入れて

私は救急箱を取り出す。









「菊池くん、」

「……なんで来た」









微かに聞こえたのは

初めて聞いた、低い声。









「……怖かった、から」









さっき出せなかった答えは

今、すんなりと出てきた。







菊池くんが、怪我をしてるかもしれない。

誰かが来るのを待ってるかもしれない。









　

痛くないふりを続けても

きっと、苦しかったはずだから。









どこかへ、優しいキミが

消えてしまうんじゃないかって









怖かった。









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