不器用すぎて愛しくて。

不器用11 ページ11

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次々と本を並べていく菊池くんが

急に顔を歪めて

本を落とした。









「菊池くん？」









不思議に思って見ると

腕が少しだけ腫れて

赤黒くなっていて。









「腕！ 怪我してる！」





　








なんで今まで気付かなかったんだろう。



きっと

私を抱き止めたときだ。









「別に大したことじゃない」









そう言いながら

落ちた本を手に取ると

また脚立に上って。









「保健室行かなきゃ」

「行かなくていい」

「腫れてるのに？」

「痛くねーから」









むきになる菊池くんの腕にそっと触れると

菊池くんはまた顔を歪めて。









「痛いんでしょ？」

「……」









黙り込んで目を逸らすと

そっと痣を隠す。









「ほら、行こう」

「俺のことはほっとけばいい」









だから、と菊池くんの送った

視線の先には

一人でせっせと仕事をこなす聡くん姿がいて。









じゃ、と呟くと

菊池くんの背中は図書室から消えていく。









「聡くん、」









なんでなんだろう。

せっかく聡くんと二人になれるのに。









チャンスなのに。









「ちょっと、保健室行ってくる！
　すぐ帰ってくるから！」









こんなにも、菊池くんの側に

いたいと思うのは









どうして、？









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