163話『シンドバッド目線』 ページ28
「シンドバッド、私のこと信用してないんでしょ」
Aの冷酷な視線と、冷たい言葉に、俺は何も言えなかった。
正直、そんな言葉が返ってくるなんて予想外だった。
だって俺は────Aのことを信用し、信頼しているのだから。
俺が昔から旅をしてきた八人将と同じくらい、俺はAのことを信用していたつもりだ。
その理由はよく分からない。
とにかく、Aは言った。私のことを信用してないんでしょ、と。
確かに『アル・サメーン』に会うのに連れていくのは反対した。
その理由は──自分でもよく分かっていない。
なんとなく、嫌だった。
あの男とAが昔仲間だったと聞いて、尚更俺はAを連れていかせたくなくなった。
そういえばAが煌帝国についていくと言ったときもこんな感じだった。
Aを連れていきたくない、俺の手から離れていったらと思うと──たまらない気持ちになるのだった。
理由はよく分からない。
Aの力──『
とにかく俺はAに関して、分からないことが多すぎる。
──っと、いけない。
思考が全く違う方向に行ってしまっていた。
今はとにかく、この誤解を解かなければ。
「ッ……A、」
「もういいよ……」
俺が話そうとすると、Aが俺の言葉を遮るように呟いた。
それから俺の目を見て、冷たく言い放つ。
「私、自分で行くから」
Aはそう言って、俺に背を向けて歩き出す。
「待てッ！！！A！！？！？」
Aは窓から飛び降り、そして空を飛んだ。
俺の伸ばした手はAには届かず、ただ空をきるだけだった。
────────────────────────
シンドバッドが意外に鈍感だったら良いな、と思って書きました。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 645人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「原作沿い」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
中学生なのに暇人 - 織叶さん» コメントありがとうございます（ ; ; ）応援、とても嬉しいです。続きを待っていてくれて本当にありがとうございます！更新、頑張りたいと思います！ (2019年10月21日 2時) (
レス) id: 5432413cdc (このIDを非表示/違反報告)
織叶(プロフ) - 更新おつかれさまです！続きを読むことができてほんとうにうれしいです！！ジャーファルとシンドバッドの会話が素敵だなって思いました…！これからも応援しています！ (2019年8月30日 19時) (レス) id: da72fed0d7 (このIDを非表示/違反報告)
りほこ(プロフ) - 続きが見たいですー！！！！！更新頑張ってください！！！！！！！！！ (2019年1月31日 18時) (レス) id: e6d24bafa3 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ - 更新楽しみにしてます^^* ゆっくりでもいいので、更新頑張って下さい！ (2018年10月22日 3時) (レス) id: cfa47c9152 (このIDを非表示/違反報告)
ネギマ(プロフ) - 更新待ってます。 (2018年9月28日 2時) (レス) id: 97ed89bb2d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：中学生なのに暇人 | 作成日時：2014年8月7日 22時
