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森本がエレベーターに乗るところまで見送って、インターホンを鳴らす。1分ほど待って返事がないからもう1度。
「えぇ、、ユウさん?開けて?」
しばらく名前を呼んでいるとガサッと向こうに気配を感じた。
「ねぇユウさん、開けてくれない?鍵家の中。」
「、、したの?」
「なに?」
「契約しちゃったの?って!」
感情的に叫んだユウさんが鼻をすする音が聞こえる。
「ユウさん、してないよ?泣かないで?」
「じゃあなんで早く戻ってこないの?」
前の彼女を思い出す。仕事ばっかりで私はなんなの?って泣かせちゃった時みたいだ。隣の奥さんがガチャッと玄関を開けて顔を覗かせる。白い目に小さく会釈をした。
顎でインターホンをクイクイと指してバタンと閉められた。
いや、わかってますよ、俺だって、、。
「森本さんと話してただけだって。」
「本当?」
「本当の本当!!お願いだから開けてよー。」
「うん、、ごめん。」
プツッと通信が切れて玄関が開く。足幅程度しか開けてくれないユウさんは、一応申し訳なくは思ってくれているらしい。
「すみません。」
「いいよ、入るね。」
「怒らないの?」
「別に?困ったけど嫌だったんでしょ?永久雇用契約が。こういうことをするくらいに嫌だって話。」
「ありがとう、、。」
ユウさんが指導されてきた理由はわかった気がする。徹底抗戦なんだな、ユウさんって。
「でも、俺そんな強引なことしないから次からはちゃんと話し合おう。そうしてくれたら嬉しい。」
「ごめん、なさい。」
「いーよ。ほら、朝御飯食べよー。」
ユウさんの肩を触ってリビングへ向かう。
ユウさんは勝手に俺が永久雇用契約を結ぶと思ったのだろうか。
そんな風に見えてる?
それとも伊藤が現れてカリカリしていた?
森本も知らないユウさんと伊藤のことってなんなんだ。
あの男、ユウさんと何があるんだ?
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作者名:久遠さん | 作成日時:2021年9月19日 0時