リライト 2 (ページ49)

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「あ、ウィルだ。見て！」

ユウさんが興奮しながらテレビを指している。そこにはSixTONESのウィリアムがVTR出演していた。

「俺ウィル推しなんだ。ジェシーさんってウィルに似てるよね。京本さんがね、人が良さそうなのもあったけど、ウィルに似てたから選んだって。」

「選んだ？」

「京本さんが俺のためにサイトを公開してたの。それでジェシーさんが俺を見つけてくれた。不思議だよね、ジェシーさんって俺が好きな人たちに似すぎ。」

なんとなく自分が誰に似ているのかわかってしまって、複雑な気持ちになった。

「これからどうするの？」

俯くユウさんにお茶を渡しに行く。

「アイドル、、やめる！」

「、、え？」

俺を見上げてクシュッと威嚇するように可愛い顔をしたユウさんに唖然と口を開ける。ユウさんが柔らかく微笑んで、お茶を受け取った。

「2人の話聞いたら、なんでだろう、俺だけでもって気持ちも無くなっちゃったんだ。

北斗(・・)とアイドルになりたかったんだよ。

ごめんね、応援してくれたのに。」

「そっか、、。」

寂しさが俺の心をじわじわと這った。夢が消えてしまったように見えたんだ。叶わない夢にもその人が詰まっているのに、簡単に価値がないって思われてしまう。

「仕事探さなきゃね。」

「なら、うち来ない？ずっと来てほしいって思ってたんだ！、、、ダメ？」

言ってから可能性が低いことに気づいて自信をなくした。険しい顔をするユウさんに怯えていると、クスッとユウさんが「いいよ。」と言った。

「へ！？いいの！」

「楽しそうだし。」

「よかったー！ねぇ、ユウさん？俺、ちゃんと知りたいな、ユウさんのこと。もう友達でしょ？」

重いって思われたらどうしようと思いながら聞くと、ユウさんがポッと赤くなった。

「友達、、か。そう言ってくれるの結構嬉しいかも。」

「俺も嬉しい。ユウさん、自己紹介してよ。名前と年齢と、、趣味はないって言ってたし、大事にしてるものとか？」

ユウさんが唇をすぼませながらしばらく悩んで、はい！と俺に姿勢を正して向き直った。なんとなく俺も姿勢を正す。

ユウさんがスウッと空気を吸った。

「俺は、、高地優吾、25歳。3月8日生まれのA型。大事にしてるものは、このペンダントと、、夢。」

「夢？」

「うん。」

　

「北斗とアイドルになる夢。」

優吾さんの笑顔と一緒に、北斗のペンダントが輝いた気がした。