リライト 2 (ページ47)

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「離してよ。」

殺意に支配されてしまったユウから低く鈍い声が発せられた。ジェシーはユウの奥底を見るように目を細めて、掴む手に力を込めた。

「ユウさん、誰のためにやってるの？」

ジェシーの声は至って冷静だった。

「止めないでよ！俺は、北斗を殺したあいつを！」

ガラリと叫んだユウが伊藤に血走る目を向ける。坂口を盾にした伊藤は口角を上げたまま場を楽しんでいる。

「だから止めるなよ。ジェシーさんにはわからない！」

肘を入れて体でジェシーを押し返す。ジェシーが地面へ転がってユウが両手でナイフを構える。ザザッと深い足取りでユウが伊藤へと進んだ。

制止の言葉を叫びながら近づこうとする森本と京本にユウが刃を向ける。

ジェシーはその姿を見ながら、自分にはわからないと突き放されたことにショックと怒りを覚えていた。

部外者の自分にはわからない事が多すぎる。ナナセという北斗にも会ったことがなければその2人の絆すら知らない。ユウがどのように過ごしていたのか、笑いあっていたのかもわからない。

しかしそれはジェシー特有の嫉妬とは違うものである。

「止めるよ！嬉しくないよそんなことされても！」

ユウがピタッと足を止める。

「北斗さん絶対喜ばない。夢があるって言ってたじゃん。アイドルになるんでしょ？

それを捨ててこんなことされても、、なんにも嬉しくないよ！！北斗さんのために頑張るのってそこじゃないじゃん！！」

ジェシーが片手を後ろについて、前のめりになるように立ち上がる。

今さら、、

そんなことない。俺たちがついてる。

「だから、一緒に叶えよう？ずっとそばにいるから。」

「っ！、、なんで、、？」

固唾を飲んで京本と森本が見守るなか、ユウがゆっくりとジェシーへと振り返る。

"一生一緒"だね、優吾。

一緒に叶えよう。人生賭けた誓いだよ。

手を差しのべるジェシーの姿がいつかの北斗と重なって、ユウはナイフを落として誘われるように、なだれ込むようにジェシーの胸へと飛び込んだ。

「ごめん、ごめん北斗、ごめん！」

止めどなく溢れる懺悔と嗚咽をジェシーが抱き締める。京本と森本はその姿を肩を震わせ、唇を噛みながら見ていた。妙に月の光が目元を反射していた。