リライト 2 (ページ45)

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「坂口のことも信頼しているように見えたのですが、あなたも演技がお上手なようで。俳優志望だった坂口の演技は私も騙されそうなものでしたけど、、あなたのは完全にやられてしまいました。」

伸ばした手のひらを額に当ててコテンと笑う坂口にユウが粟立った。坂口は拳を握りしめ俯いている。

「俺は俺が知ってる北斗を信じてるから。ジェシーさんを信じてる。慎太郎も、京本さんも信じてる。」

「森本と京本を？」

名前が出た瞬間に伊藤から流れ出る敵意にユウの恐怖は増した。般若のように牙を向いて今にも噛み殺されそうなものだった。

「だって京本さんが辛そうじゃないのを見たことがないから。俺が勝手に北斗の命日にお墓に行って捜索されたときも、すぐに来たのは京本さんだった。」

「よくもまぁこんな距離を逃げ出せたものだな。ヒッチハイクでもしたのか。」

「京本さん、、、はい。」

「買い物から戻らないと通報があってな。玄関に迎えが来ていなかったのなら逃亡だろうと伝えたら私が怒られた。気づくのが遅い上に随分と酷い女だな。」

北斗の墓の前、腕時計に触れながら京本が墓に目をやった。ほとんど燃え尽きている線香と立派な仏花をユウは首を振って否定した。

「僕じゃないです。お金ないし、、」

「そうか、いくつ規則を破れば気が済むのかと思った。後で覚えておけ。」

「すみません、、でした。」

「ここへ来たいなら自分のオーナーに話をして運転手と共に来い。」

京本が腕時計を確認して踵を返す。

「森本も来るのに時間がかかるだろうな。それまではそこで待っていろ。私の車にお前を乗せたくない。」

「京本さんに言われてから外出の許可をもらって行ってたけど、ずっとおかしいって思ってた。横暴な人たちがそれだけは許してくれる。勝手に行った日だってバレなかった。それは、俺の居場所がわかる京本さんと慎太郎が黙ってくれたから。

すぐに来られた京本さんは、きっとあの立派なお花を供えてくれた人だと思ってる。」

京本は冷たくて嫌なところがある人間だとユウは思っている。常に上から目線で淡々と暴言を吐く様は会社の人間らしい。しかしそうではない隙が見えていた。ユウの前では特に、表情が冷たくなるほど心の奥が揺らいでいるように感じていた。