ページ ページ39
「この子の知り合いがまた乗り込んできたんです!」
高崎の言葉が耳に入って、我が戻ってくる。どういうことかと高崎の顔を見た。
「伊藤はどこだと言って騒いでいたんです。警備員が取り押さえたんですがなぜか伊藤さんが通しました。」
「伊藤はどこにいる。」
「3階の会議室Bです。」
考えもなく体が動いていた。全力で走る京本を社員が物珍しげに見るのも気に留めずにとにかく走った。
息を切らしながら会議室に到着する。扉を開けると伊藤とユウの声が聞こえた。
「そのままの意味ですよ。まぁ知ってしまったあなたもですかね。」
「死んだってどういうことだよ!!北斗を返せよ!」
行くしかないと扉を押し開いて乗り込んだ。泣いているユウが振り返る。
「お元気ですね。」
「おかげさまでな。話したのか。」
「どうしても聞きたいと騒ぐものですから。なにやら、ペンダントが届いたそうで。」
伊藤の視線の先に目をやればユウの右手から北斗七星が垂れていた。やったのは森本であると京本は直感した。こんなことになると思っていないということも。
京本の視線に気がついたユウがペンダントを胸にしまって隠した。恨み辛みを全身に受けた気分だった。
「私が指示したことだ。」
「ではあなたがこの騒ぎを引き起こしたと。」
「そうだ。だから駆けつけている。それよりも機密情報を易々と漏らす方が問題になると思うぞ。」
「元からってことにすれば良いんです。また来られても迷惑ですし、私の方が信頼もあります。」
伊藤が蛇のように笑ってスマートフォンを取り出す。
このままでは数分後にはこの男も死んでしまう。
どうしたらいい。
ナナセの大事なものまで自分のせいで奪われてしまう。
どうしたら、、
「っ待て。」
伊藤へと歩いていきスマートフォンを取り上げる。凛々しい表情のまま倉沢へと繋がったスマートフォンを顔の横まで掲げてスピーカーに切り替えた。
黒い縁が京本を睨み付ける。
「京本です。私の不手際でトラブルが発生いたしまして、伊藤さんに手間をとらせてしまってます。その処理を私にお任せ頂けますか?」
『なんだ突然、当たり前だ。』
「そうですか。それと確認なんですが、我々の仕事は働かせて利益を返済に当てることですよね?」
『さっきから当然のことを聞いて無駄な時間をとらせるな。』
ブチッと通話が切られる。了承が得られれば後は時間との勝負だ。
「そこの男、松村北斗を返してやる。」
475人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「SixTones」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:久遠さん | 作成日時:2021年9月19日 0時