北斗担注意です！ ページ36
No side
「おつかれ。どうだった？」
「いつも通りだよ。」
森本のシエンタにナナセが乗り込む。
ナナセは森本が社員になって初めて担当する家政婦であった。この会社の正体を知りながら働くことは森本を想定以上に苦しめていた。
そんな森本にナナセはいつも笑って話しかけていた。
自分には待たせているシンメがいて、その人とアイドルデビューをするのが夢なのだと。まだ夢の途中、こんなところで自分もシンメも止まるわけにはいかないのだと。
そして森本と話す時間を楽しみにしていると。
「じゃあ早速、今日の優吾のコーナー。」
「お、何々？」
「今日はですね、ベランダから洗濯ばさみを落としてました。それとダンス練習をしてたよ、自然公園で。」
ナナセのお願いで森本が危険を顧みずに始めたことだった。優吾がアイドルを諦めてはいないか、寂しがってはいないかと不安に思うナナセを安心させたかったのだ。そうすることで自分の罪も軽くなったような気でいた。
そして楽しそうに話すナナセがそれを証明してくれていると思っていた。
「事務所やめたのに俺のこと待ってくれてるって、なんか嬉しいな。もう1年が経ったよ。」
「ダンスも歌も上手になってるよ。」
「本当？歌はね、俺と違って真っ直ぐで無垢なんだ。、、俺がいなかったらさ、優吾も違う人生歩んでたのかな。アイドルなんて興味なかったって話したでしょ？」
「そうねぇ。でも今は優吾さんの夢になってるから良いんじゃない？楽しそうだよ。」
出会ったのは6年前、ナナセが事務所に入って3ヶ月が経とうとしていた頃だった。社長がナナセにピッタリだとお小遣いを餌に連れてきたのだ。
アイドルなんてやる気は無いと言い放った優吾だったが、噂を聞き付けた女子生徒に圧をかけられて渋々1ヶ月後に戻ってきたのだ。東京住みではない優吾はレッスンに通うには遠かったらしく、ナナセと同室でシンメという関係になった。
自分でオーディションを受けて合格したナナセとそうではない優吾は初めは喧嘩が絶えなかったが、なんとか修正を重ねて信頼と友情を築いていたのだ。
「俺の粘り勝ちってとこかな？優吾頑固だから大変だったな。でもね、結構好きだったりするのよ、あの頑固さ。」
「結局優しいとこあるよね、話聞いてると。」
「そうなのよ、両性にモテるの。」
「デビューしたら2人共凄いことになるよ。」
「そうだと思う。うん、絶対そうだよ。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 475人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SixTones」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：久遠さん
| 作成日時：2021年9月19日 0時
