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『俺はただの探偵だよ。裏にも顔が広まってきてるけどな?でもお前は社長だろ?何人の人間を、家族を生かしてるかわかってる?』
「わかっ、、てる。」
『だよな。じゃあそういうことで。心配すんな。助っ人は頼もしいから。仲間増えたし。じゃあな。』
ツー、ツー、とスマートフォンから無機質な音が聞こえる。永遠と聞こえるそれはもう2度と樹に繋がらないんじゃないかと思わせてくる。段々と怖くなってきた。
本当に大丈夫なんだろうか。
これが最後の会話になってしまったら?
樹が傷つけられたら俺は、、。
どうしよう。どうしよう。どうしよう!
怖さがピークになって視界が塞がれていく。聞こえたのはユウさんの声だった。
「ジェシーさん。」
スマートフォンを持つ手を部屋に入ってきたユウさんに包まれて、ハッと落ち着きを手繰り寄せる。
「ユウさん?」
「震えてる。ごめんね、巻き込んで。」
「そんなことない。」
「ジェシーさん、ありがとう。でも大丈夫。もしかしたらジェシーさんが思うより早くここを出られるかもしれないの。今日、そのために早く帰る。それを伝えにきたんだけど、、」
「そうなの?」
それは初耳だ。
「そんなことあるの?」
「うん。俺特殊だから。だからジェシーさんが会社に歯向かわなくてもなんとかなるかも。ごめんね、追い込んじゃって。」
ユウさんが俺の腕を擦る。ユウさんからの眼差しはウサギが耳を垂れ下げて下から見つめてくるみたいだ。怒るつもりはないけど、無いそれも失せる。
「じゃあちゃんと決まるまではこのまま頑張るね。わかったら教えて?」
「うん、ありがとう。お昼にしよ!温かい肉うどんだよ。」
「そうしよう。お腹ペコペコ。」
ユウさんに腕を引かれて部屋を出た。
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作者名:久遠さん | 作成日時:2021年9月19日 0時