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ユウさんはあの事以上のことは話してくれないし、森本は最近何か張りつめているらしい。

ユウさんは慎太郎と彼を呼ぶ。助けを求める人も森本だ。ユウさんを守るのも森本で、森本はユウと名前で呼ぶ。

それほどの信頼関係を築いている男が俺にユウさんを頼んだ。見ているものが同じなのだとしたら、それはユウさんの解放なんじゃないかって思ったりもする。

だからヒントがほしい。ユウと名乗る男のことについて。

「見たことあるって、どこで？」

「うーん、、大分昔だから記憶違いかもなんすけど、実家の隣に住んでたおじいさんのお孫さんがつけてた気がするんですよ。」

「他にも売ってるでしょ。」

「いや、大切な人に作ってもらったって言ってたんですよ。これしかないはずなんです。もしかしてそうかなと思ったんすけど名前違うから。」

「顔、、、は？」

「顔は見たことないっす。そこら辺は面倒くさいんで勘弁してください。でもそのとき聞いた名前は新内ナナセだった。」

新内ナナセ。

ユウさんの本名？それとも付けられた名前？

祖父を名乗った男の素性からユウさんのことがわかったりしないだろうか。

「目で見たものの記憶力は結構あるんですけど耳はないんですよね。だから判断つかなくて。」

「その新内って人、下の名前は？」

俺が詰め寄るように聞くと目黒は一瞬身をのけ反らせたが、すぐに首を横に振った。

「ナナセさんから貰ったのかな？って弁当預かった日に聞いたんすけど、ナナセさんも新内も知らないって不審な顔されました。それで気になって残って調べてたんすけど、アイドルのことばっか出てきて。

うちの母親に聞いても名前すら覚えてなかったんすよ。」

ユウさんの本名知りたかったのってそういうことか。

「目黒の実家ってどこ？」

「六本木の◯◯ってマンションです。」

「その人は何号室に住んでたかわかる？」

「うちの隣だったから、、◯◯◯◯号室っすね。確か。」

「そっか、ありがとう。」