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ジェシー

田「おいジェシー！あっち！」

ジ「おいなんて人に使っちゃダメです！」

「ジェシーの言う通りよ。横柄です。」

田「、、ごめんね。」

ジ「ふっ、良いですよ。」

出産を終え、奥様と共に樹を育てていた。そんな毎日が俺にとって幸せで、掛け替えのない宝物だった。

「ゴホッゴホッ、、ゴホッ」

ジ「奥様？やはり外出はお体に障りますか？」

田「ママー！」

ベンチで咳をする奥様にふたりで駆け寄って背中を擦る。

「もうちょっと暖かい格好をしてれば良かったかしら。」

田「よし！ジェシーその上着をママに着せてあげてください！それで手を繋いで帰ろ？手もあったかいよ！」

着ていた上着を奥様に着せる。樹と奥様が手を繋いだ。

田「ほらジェシーも！」

ジ「いや、それは、、。」

「はい、手を出して？」

ニコッと差し出された奥様の左手に遠慮ぎみに手をのせる。頼もしく握られて歩みを進めた。

田「ママ暖かい？」

「うん、ありがとう。」

奥様に似て本当に優しい子だと思う。

ジ「樹は、素敵な社長になるかもしれませんね。」

「ええ、その時もあなたがそばに居て下さい。世話係ではなく共に歩く秘書として。決して、樹が踏み外すことの無いように。」

芯のある口調と裏腹に儚い微笑みを俺に向ける奥様は、何よりも美しかった。