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今日は自分の当番だからと狭いキッチンで器用に夕飯を作る高地を課題をしながら時折見ていた。

痩せすぎている彼だけど、かわいい背中だと思う。

今もやんちゃなところはあるけど昔はもっとやんちゃで、泣き虫な俺を力強く励ましてくれていた。

高「いてっ！切った！」

松「嘘！見せて。」

左手人差し指を見せられて、そこに吸い付く。鉄のような味と裂けた肉の感触が広がった。

高「それ変だって言われたじゃん。」

松「俺はそう思わないよ。」

小学生の頃、調理実習で指を切って半べそをかいた俺に今のような処置をしてくれた。

こうすればすぐ痛くなくなるから。と泣かせないことに頭が一杯だったらしく、周りの目なんて見えていなかった。

それで一時期この事を弄られていたのである。

高「そういえば北斗のお母さんから沢山食べ物届いたよ。」

松「お、そうなんだ。」

高「本当に助かるよ。うちは仲悪いからさぁ。」

母親から逃げたくて無理に始めたルームシェアも、うちの親が協力的だったから辛うじて成り立っている。

お金だけの親子関係は寂しいものだと思うけど、高地曰くどうってことないらしい。

それはそれで俺が一緒に暮らす意義があるのかなって嬉しくもあるけど。

松「まぁ、いつか仲直りしなよ。」

高「わかってるよ。」