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森本

昨夜、都内の山から白骨化した遺体が見つかった。

おそらく死後5年ほど経過。推定50代の男性。現在身元特定中。

「一致する男性が見つかりました！田中重造。6年前から行方不明になっている田中グループの前社長です！」

駆け足で入ってきた捜査員の言葉にどよめきが生まれる。

日本を代表する田中グループの社長が突如姿を消して世間がざわついたのは鮮明に覚えている。

彼の消息だけでなく、誰が後を継ぐのかと経済が揺れた。

そして後を継いだのは当時高校3年生だった1人息子だ。
　
反対する者もいたようだが、彼の経営センスは抜群で田中グループは更に力を増した。

「森本、ボケッとするな。」

森「あ、すみません。」

「ったく、キャリアだかなんだか知らないが気を抜くな。」

ピシャリとデコを先輩刑事の城岡さんに叩かれて、背筋を伸ばす。
　
会議が終わる直前、俺のスマホが鳴った。

「マナーモードにしとけよ！」

森「すみません。」

会議を終えてからすぐに折り返しの電話をする。

「本当なの？」

森「本当に見つかった。でも大丈夫だから。」

ひどく怯えた声に優しく返事をする。

「信じて良い？」

森「どうせわからないよ。」

「わかった。」