ファンタジードール (ページ8)

今日:12 hit、昨日:43 hit、合計:20,695 hit

8 ページ8

話を聞いたところによると、喧嘩の発端は深雪が面倒くさいと皐月に手伝いの洗濯をやらせようとしたことらしい。いつもはやってあげる皐月も次の日の小テストの勉強でカリカリしていてそれを怒鳴り付けたことから言い合いになり、1週間無視し続けたという。それで今日に至る。

軽い愛情不足による逆戻りってことになる。

喧嘩するほど仲が良いって言いますけど、無視はやめてあげてください。ドールにとって凄く負荷のかかることなんで。

「本当にごめんなさい。ありがとうございます。」

「いえいえ、じゃあ俺らはこれで。」

「ありがとねー、じゅりとしんたろー。」

能天気に佐久間先生に手を振られて保健室を出る。

「やっぱり妹弟型のドールはオーナーより下の発達になるよね？そういう風に作ってる訳じゃないんでしょ？」

「うん。わがまま言って受け入れてもらうことを好むって話だから、自然と出来ないことが増えるんだよね。勉強いやだー、寝たーいみたいな。」

「そういう話か。じゃあ俺も勉強嫌だー、寝たーい。」

隣を歩いていた慎太郎が俺の前に立ちはだかる。
　
「マジで？」

「だって体育午後だし。午前中全部座学だよ？」

慎太郎がお茶目に下唇をブスッと出した。

「わぁったよ。サボるかぁ。」

「サボりましょお。」

2人で「レッツゴ！」と腕をあげながら首を傾けて高音を出す。ポケットに手を突っ込んでさっきと反対方向に進み始めた。