推しに認知、されました。

推しに認知、されました。　Na 1 ページ1

夢主side


ふと、目に付いたアンティークな雰囲気の個人経営らしい楽器屋。

カランコロン、なんて可愛いらしい入店音と共に、
私がずっと憧れていた白いアコースティックギターを見つけたので聖地巡礼のような気持ちで近寄った。

うわ、案外ここってきらきらしてるんだな、とか
つやつやすぎて反射してる、とかそんなどうでもいい感想を抑えながら値札に目を向ける。


まあ自分の手持ちの財布の金額じゃ買えなかった。

もういっか。
店を出ようと後ろを振り向いたその時。

「そのギター、かっこいいですよね。
　俺、少し前にここで買ったんすよ。」

その声は男性の平均的よりかなり高めでバラードに映える推しの声にそっくりだった。
私はあまりの驚きに手持ちの鞄を落としてしまった。

「大丈夫ですか？ほら、鞄。」

A「すみません。ありがとうございます、あ、あの。」

「あ、！もしかして、おねーさん俺のこと知ってたり
　するんじゃない？」

A「そうです、知ってます。ごめんなさい、」

「ちなみに、誰が好きなの？」

A「逆に誰だと思いますか？」

「うんん…洋服緑だししゃけ？いや、やんとか？」

A「あはは、違います。」

「え、？きんとき？」

A「Nakamuさんです、笑」

「え、俺？嘘」

A「嘘じゃないです。なんならキュロットとかキャスケット被ってくればよかったって後悔してます」

「俺きついからあんまファンいないんじゃないかって、自信なくしてたんだよね。嬉しい。」

A「そんなことないです！たくさんファンいます！とゆうか、大丈夫なんですか？」

「え、あー、うーん、微妙？笑でも言わないでしょ？」

A「いやまあそうですけど。」

「なんか買いに来たの？行きつけ？」

A「このギターが目に留まっただけで、今日が初めてです。」

「ギター弾くよね？ピックでも買おっか？」

A「アコギを3年前から…いいんですか？」

「どれがいい？」




「お揃いのが、欲しいです」





聖地巡礼はあながち間違ってなかったみたい。
推しに認知、もらいました。

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