私の王子様 【片寄涼太】-３-

〇 ページ49

.



結局雨が降り始めてしまい、午後の撮影は中止。


撮影途中だったみんなもバタバタと一斉に休憩室へと入ってくる。

壱馬くんと話しながら入ってきた涼太くん。


目が合いそうになり思わず目を逸らす。



そういえば今日は撮影以外で、挨拶くらいしかまともな会話してないなあ。




急いで残りのお弁当を口にいれ、ご馳走さまでしたと一言言って帰宅許可も下りているので帰宅の準備を始める。


関口「A帰り支度始めるのはやっ！」

『次の仕事入ってるんですよ〜！』

佐野「は？お前さっき次に仕事入ってないって言ってたじゃん」


うわあ、そうだった...、玲於くん余計なこと言わないでよ〜、


『仕事入っちゃったの！そういうわけでお先に失礼します、お疲れ様です！』


急ぎ足で鞄を手にし、休憩室の戸を開け外に出る。



思った以上の大降りの雨、

傘も持ってきていなく、この後の仕事なんて嘘だからマネージャーが迎えに来てくれてるわけでもない。


走って大通りに出てタクシーを捕まえようと思い、足を踏み出した。

と同時につかまれた腕。



振り返るとそこにいたのは

『あ...、涼太くん...』


真っ直ぐに私の目を見る涼太くんに耐えられなくなり俯く。

『えと、どうしたの、？』

片寄「折りたたみ傘二つあるからAに貸そうと思って」

『わ、助かりますっ、ありがとうございます！』


手渡されてる傘に手を伸ばし、受け取ろうとするも傘から手を離してくれない涼太くん。



片寄「ずっと違和感だったんだよね。目を明らかに逸らしてくることも、俺のこと避けてるのも」





.

○→←○

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す