塩と砂糖の見分け方。 (ページ44)

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＃小森

あんなこと言うつもりじゃなかった。

でも、玲於のことを想って泣いている奈々子を見て、我慢がならなくなった。

奈々子「……ごめん、隼のこと気付けなくて。」

仕事終わり、ちゃんと楽屋で待っていてくれた奈々子。

約束をしたのは玲於に見せつけたかったから。

その気になれば、玲於から奈々子を奪うことくらい簡単なんだよってね。

今は楽屋の近い自動販売機のソファの上。

小森「いや、困らせてごめん。」

謝れば、取れそうなくらい首を振る。

奈々子「ずっと隼が支えてくれてて、私にはそれが当たり前になってた。困ったときに相談して、悩んだときに話を聞いて慰めてくれて。隼がいなかったら私は生きていけない自信がある。」

小森「何それ(笑)」

奈々子「………隼のことはだいすきなの。だいすきなのにね、この気持ちは隼のすきとは違うんだと思う。」

小森「……うん、知ってる。」

奈々子「……………ごめん。」

振られたな、俺(笑)

小森「振るんだったら謝んな。」

奈々子「……。」

小森「謝る必要ない。今まで通り頼ってよ(笑)」

奈々子「……うん。」

小森「俺には奈々子が悲しまなければそれでいいんだ。無理にすきになってもらおうとかそんなんじゃないからさ。」

泣いている奈々子は見たくないから。

奈々子を守れても、どんなに支えられても、奈々子を幸せに出来るのはきっと俺じゃない。

奈々子「……ありがとう。」

そう、俺はその言葉を聞きたかったんだ。