塩と砂糖の見分け方。 (ページ41)

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＃小森

楽屋の前の廊下。

携帯を取りに戻った玲於を追いかけて、俺も楽屋に忘れた飲み物を取りに向かった。

奈々子「……よかったね。本田さんと連絡先交換できて。」

あ、奈々子も着いてたんだ。

レッスンの見学くらい来てくれてもいいのに、なんて呑気に考えていた。

佐野「控えめに言って最高。ご飯行くことになったんだ。」

本田さんのことだな。

どうせ連絡先なんて交換してないんだろうけど(笑)

佐野「本田さんも俺のことかっこいいって言ってくれててさ、マジでいい感じ。」

え？

本田さんのタイプは裕太くんって、収録のときに笑い交じりに話してたのに。

佐野「あれ、事務所的に付き合うとかはダメじゃないっすよね？」

どうやらおかしな状況だ。

なんて、しばらく盗み聞きしてたら足音が聞こえて、ヤバいと思ったときにはもう目の前に奈々子がいた。

奈々子「……隼。」

小森「ごめん、聞いてた。」

奈々子「……レッスンでしょ！私他にやることあるから、また後でね！」

そんなこと言って、泣いているのを誤魔化そうとしている奈々子。

その手を掴む。

小森「……やめろよ。」

奈々子「え？」

小森「そんなに、泣くほど辛いんなら、玲於なんてやめて俺にしとけよ。お前の泣き顔なんて俺は見たくない。」

言ってしまった。

ずっと自分の心の内にしまっておこうと決めていたのに。