塩と砂糖の見分け方。 (ページ36)

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＃奈々子

体調は元に戻りそうになくて、タクシーで家に帰った。

涼太くんの言っていた人が誰なのかはよく分からなかったけれど、なんか安心した。

みんなのうちの誰かを、すきになってもいいか。

そん質問に、涼太くんは笑って問題ないって言ってくれた。

私はこの気持ちを大切にしたいんだ。

伝えることはできなくても、想うことはやましくないって。

涼太くんには感謝ばかり。

次の日、万全とは言えなかったけれど体調もよくて、いつも通り楽屋に向かった。

最近は私の忙しさをサブマネージャーさんがフォローしてくれている。

だからお見送りはしていないんだ。

奈々子「玲於くん。」

佐野「……。」

黙ったまま、携帯から視線を私に向けてくれた。

奈々子「昨日はありがとう、運んでくれて。」

佐野「別に。目の前で人が倒れたら運ぶしかないでしょ。」

数原「言い方(笑)」

白濱「玲於は相変わらず素直じゃない！」

関口「っていうか、奈々子さんにはすぐそんなこと言う(笑)」

奈々子「それでも嬉しかったの！ありがとうね！」

笑顔で言えば、ちゃんと笑顔を返してくれる。

それだけで私は嬉しいんだよ。