バブルリング〔紫〕 (ページ37)

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その日は初めて閉校の時間まで指導が入っていた。

塾長はいない日だったので、代わりに小瀧先生が閉校作業をするらしく私も手伝う。

「もう遅いんやし先に帰っててええのに」

『家すぐ近くなんで大丈夫ですよ』

勉強机の横に設置された小さなゴミ箱のゴミを回収して袋にまとめる。

私がゴミ袋の持ち手を結び終えたと同時に横から手が伸びてきてゴミ袋が攫われた。

「ありがとさん。さーて、帰るぞー！」

『あっ、それくらい軽いんで持ちますよ！』

手を伸ばしてもサッとかわされる。

「ええのええの！これくらい持たせてよ(笑)」

そう言うので私は代わりに出入り口の大きな扉の鍵を締める。

ゴミ置き場にゴミ袋を置くと、大きな背を仰け反らせるようにして先輩は伸びをした。

「いやぁ～、楽しみやなあ、、」

鼻先をポリポリ掻きながら言う先輩。

「どこ行きたい？」

『どこでもいいですよ！』

「ははっ、それいっちゃん困るやつやん！」

そう言って笑う小瀧先輩は月に照らされて、不覚にも格好いいと思った。

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