バブルリング〔紫〕 (ページ4)

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「んあ、10分もオーバーしてもうた･･･！申し訳ない！」

『私こそごめんなさい。でもお陰で明日の問題助かりました･･･！』

最終コマの時間帯で塾に通っている私の指導終了時刻を過ぎた頃には誰も残っておらず、教室には私と濵田先生だけだった。

濵田先生は疲れたと言わんばかりの大きな伸びをした。

『濵田先生も早く帰りたかったですよね････ほんとすみません』

私はバタバタと机の上に散らばった教科書やワークを片付ける。

「全然大丈夫やで。Aちゃんも疲れたやろ～。ほら、肩凝ってますな～(笑)」

言いながら私の肩を優しく揉み始めてくれたのに、急に何かに気づいたように慌てて離れる先生。

「こんなことしたら今のご時世セクハラとか言われるやんな、あかんあかん･･･」

『あー、そうですねえ････』

「何ニヤニヤしとんねん！

ほんまに･･･塾長とかに言わんよな････！？」

『言わないですよ(笑)』

「ん、約束やで！ほなら遅くなる前に早よ帰り。」

いつもの癖のように前髪を払い除けながら少し安心したように笑った先生は、帰り支度の整った私の背中を押して出入り口まで見送ってくれた。

冷房の効いていた室内から外に出た瞬間、

むわっとした夏独特の空気に包まれると同時に、

濵田先生に触れられた肩や背中だけが、

妙に暑く感じた。

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