バブルリング〔紫〕 (ページ26)

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塾長やその場に居合わせた他の先生たちに軽く挨拶をして、さあ帰ろうと思ったとき小瀧先生に引き止められた。

「バイトの件、まだ決まってない？」

そうだ･･･すっかり忘れてた。

ずっと家にいたんだから考える時間なんて十分あったはず････なのに申し訳ないことをした。

そんな気持ちが顔に出ていたらしい。

「ははっ、忘れてたんやろ～？ま、これからは大学内で会えるやろうし返事はまだ先でええよ。とりあえずラインだけ交換しといてもらってもええ？」

『も、もちろんです！』

改まって男の人とのライン交換なんて、しげぐらいとしかしたことがなかったから少し緊張した。

数秒して私のスマホ画面に小瀧先生がビールジョッキを持って満面の笑みを浮かべているアイコンが浮かび上がる。

「じゃあまた連絡させてもらうな！Aちゃんからも聞きたいことあったら何でも遠慮なく送ってきて！」

小瀧先生はそう言うと " じゃあね～、気をつけて " と大きな手をひらひらさせながら見送ってくれた。

外に出ると温かい風が吹いていて、春の訪れを私に教えてくれているかのように感じた。

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