【文アル】文豪の反応いとあはれ (ページ45)

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夏ページ45

有三さんに私室の部屋を出て最初に会いました。
「おはよう」と有三さんはいつもの太陽のような笑顔で言いました。私は緊張してしまって、
「お、おはよう、ございます」とぎこちない挨拶になってしまいました。

その日の夕方のことでした。仕事もひと段落して永井先生に貰った紅茶を飲みながら食堂で休んでいると、有三さんが向かいの席に座って、
「アンタ、最近元気ないんだって？いい甘味処を夏目先生に教えてもらったから次の休みに行かないかい？」
「誰からそれを？」
「坪内先生だよ。それで、返事はどうするんだい？」心臓が物凄い速さで脈打っているのが分かりました。早く返事をしないと...
『はい、行きたいです！』
「そうかい、じゃあ楽しみにしてるよ」
「はい！」
すると、坪内さんが扉から顔を出して、
「ふふ、良かったじゃないか」
「坪内さん！気を使って頂いてありがとうございました」
「健闘を祈っているよ、じゃあこれはお礼として貰ってもいいかな？」そう言うと、お饅頭の箱を指さしました。
「それ、夏目さんや尾崎さんと食べるんでしょう？林太郎先生に怒られますよ...」
「ははは」坪内さんは笑って聞かなかった事にしてお饅頭を談話室へ持って行きました。

「嘘...」私は急いで仕事を終わらせて私室へ戻りました。すると、来ていく服が無かったのです。恋を1度もした事もない私には"女の子らしい"可愛い服がクローゼットに入っている訳はありませんでした...

「買いに行こう...でも、私男の人からいいと思える服ってなにか分からないよ」よし、誰かセンスのいい人に付いて来てもらおう！でも、誰がいいんだろう...

「『高村光太郎』さんがいいんじゃないでしょうか？」
「うひゃあ！もう、江戸川さん！驚かさないでくださいよ...」
「これは、すみません。」
「でも、それはいいですね。アドバイス、ありがとうございます！今度、何かお礼させてください。」
「いえいえ、礼には及びません。」
「そういう訳にはいきませんから」
「そうですか。では南吉君と約束があるので私はこれで。」

私は、高村さんの部屋を訪ねた。