【YG】キミと奏でるメロディー

＃34 ページ34

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ユンギさんグループで活動しているんだ…しかもアイドル…

この姿を見れば納得するけど普段の様子からは想像もつかなかった。1人は辛いって言ってたけどちゃんと支え合える仲間がいるんじゃないのかな…メンバーと話しているユンギさん、とてもいい笑顔だった。

ふと、ファンから聞こえてくる名前に聞き覚えのある名前が聞こえてこないことに気付く。

誰もユンギさんの名前を呼んでない…？

耳を澄ませてみればユンギという声が丁度たくさん聞こえてきた。あれ？と思って前を見れば、ちょうどユンギさんがファンの近くに移動してきているところだった。でも同時に違う名前も聞こえてきて、不思議に思う。


「シュガ…？」


わたしの呟きにオンニが反応する。


「多分、今こっちの方に来たのがそうだと思う。わたしもちゃんと顔と名前が一致してるわけじゃないけど」

「芸名…ですか？」

「確かそうじゃなかったかな。シュガの本名が何だったか覚えてないけど」


シュガ…心の中でもう一度呼んでみても、しっくりこなかった。たまに「ユンギ」と呼ぶ声も聞こえる。だからきっと「シュガ」はユンギさんのこと。

知らない名前、見たことのない表情、普段とは違うきらきらした様子で自信満々にカメラの前に立つ姿、どれもわたしが知っているユンギさんじゃない。でも楽しそうで、かっこよくて、輝いていて、シュガとしてその舞台に立っているユンギさんはきっと充実してて、満足しているんだろうなあって思う。

わたしなにも知らなかった。知ろうともしなかった。テレビは自分の部屋にはないけれど、オンニたちに見せてもらうことだってできたし、調べることだってできた。でもわたしはそれを一度もしなかった。

知るのが怖かったのだ。ユンギさんが遠い存在に感じてしまうのが。手の届かない人だと認識したくなくて。

芸能人だって分かっていたけれど、わたしと接してる時のユンギさんはそういう風に見えなかったから。ユンギさんも芸能人じゃないユンギを知ってほしいって言ってたから、ユンギさんの言葉通り知ろうとしなかった。

アイドルのユンギさんも知って、そうじゃないユンギさんを知れば、より深く彼を知ることができたのかもしれない。でもやっぱり芸能人って別の世界の人みたいで。だから知らないでいる間は近くにいてもいいんじゃないかって。

そんな思いが占めていたから自分からは知ろうとはしなかった…


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