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#37 ページ37

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「えー何でですか。俺もその曲気になるし、直接聞きたいです」

「俺が弾いてやるからそれでいいだろ」

「頑なですね。なおさら会いたくなりました」

「絶対に嫌だ」


ジョングクとそんなやり取りをしていたら少しはイライラもおさまって。

会わせたくないのは完全に独占欲。俺よりもなんでもできて顔のいいこいつにAの気持ちが向いてしまったら、俺に勝ち目はない。

俺だけを見て欲しくて。俺だけのAで居て欲しくて。Aのふんわりとした笑顔とか、綺麗な声とか、温かさとか、全部全部俺だけのものにしたくて。誰にも見せたくない。


「ヒョン、次その人に会いに行くのはいつですか?俺も行っていいですか?」

「だから嫌だって言ってんだろ」


しつこいジョングクを一喝して、何も聞かんと誇示するようにイヤホンを耳にさして目を閉じる。まだジョングクは何か言っていたが俺が頑なに無視し続けていたら諦めてどこかへ行った。

やっぱりジョングクは厄介だったな。





それからAからの返事は来なくて。俺がもう一度送ってもやっぱり来なくて。それを何度か繰り返して、いよいよ不安になった。

まさか体調が悪いのか?携帯をいじれる状態じゃないのか?そう考えたら居ても立っても居られなくなって。だからと言ってAのところに飛んでいけるわけではなく、容赦なくスケジュールは組まれていくんだが。

体調でも崩しているのかと連絡したらようやく返事が返ってきた。謝罪の言葉と俺が心配した通り体調がよくなかったという返事だった。けれどそれからもAの返事は今まで以上に遅くて。そしてどこかよそよそしい感じが伝わってくるメッセージだった。

Aの身に何かあったのは確かで。それが何かは分からないけれど。無性に不安でたまらなかった。もう俺はとっくにAなしじゃ何もできないのに。

早くAに会いたくて会いたくてしかたなかった。会って抱きしめて、Aの存在をちゃんと感じたい。そうだというのにスケジュールの空は全然なくて。

Aに最後に会ってからとっくに1ヵ月は過ぎていた。





「またユンギヒョンイライラしてるんですか?」


Aのよそよそしい返事に加えて、全然Aに会える気配がない状況にまた俺はイライラしていて。前と同じようにジョングクが話しかけてきたが俺は無視した。

無視してもこいつは図々しく話し続けるんだけど。


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涼音1006(プロフ) - 藍さまのお話を読むと、しっとりした空気を感じたり、優しいメロディーが聞こえてくるようでとても心地良いです。1日の終わりにベッドの上でゆっくりと読み返すのが楽しみです。これからも応援しております!お身体にきをつけて下さい(*^^*) (2021年6月3日 20時) (レス) id: 12686616a5 (このIDを非表示/違反報告)
涼音1006(プロフ) - 藍さまはじめまして!「キミと奏でる〜」のキラピュアなユンギ氏と(←言い方)、「ひと夏〜」のチャラ甘で砂糖増量(←言い方!)なユンギ氏が最高すぎて、ここ数日で一気読みさせて頂きました♪続→→ (2021年6月3日 20時) (レス) id: 12686616a5 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 天然記念物さん» こちらこそ素敵なコメントありがとうございます。1番だなんて、そんな恐れ多いお言葉!嬉しい限りです。次回もキュンキュンできるような作品をお届けできるよう頑張ります。 (2018年8月20日 23時) (レス) id: 7c0b28e720 (このIDを非表示/違反報告)
天然記念物(プロフ) - とても面白かったです。今まで読んだ中で私的に1番キュンキュンしました!素敵な作品をありがとうございました。次回の作品も楽しみにしてます。 (2018年8月20日 22時) (レス) id: 70eef4ddd6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2018年8月12日 12時

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