＃04 ページ4
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心地よいメロディーラインに聞き惚れながら歩けば、Aの歌声も徐々に聞こえてきた。
あぁやっぱり彼女の奏でる歌は癒しだ。
顔を上げれば、Aがピアノを弾きながら歌っているのが見えた。そっと近付き、曲に耳を傾ける。やっぱり聞いたことがない曲だった。
目を瞑って聞いていれば、終わりを迎えたのかピアノの音が止まる。そしてざわざわと子どもたちの声が聞こえてきた。もっと聞いていたかったと思いながら目を開ければ、ちょうどAと目が合った。
「ユンギさん…」
ちゃんと俺の名前を覚えてくれていたことに嬉しくなる。
「やっぱりいい曲だな」
「ありがとうございます。お久しぶりですね」
「あぁ…忙しくて、なかなか来れなかった」
「お忙しいのに来て頂いて、ありがとうございます」
「来るって言ったからな。それにAの曲が聞きたかった」
「ふふ…気に入ってもらえて嬉しいです」
やっぱり笑う時の笑顔は柔らかくて、ふんわりとしていた。
「そう言えば…ここは学校か？」
「いいえ、孤児院です。奥に協会があります」
「孤児院だったのか…」
「はい」
彼女の言葉に奥を見れば、確かに教会らしきものが見える。それと同時に浮かんだ疑問がそのまま口から洩れた。
「Aもシスターなわけ？」
「わたしは違います…シスターのご厚意でここで働かせてもらっています」
そこで言葉を切ったAは続きを言おうかどうか迷っているようだった。無理に聞くつもりはないし、言いづらいならいいと言おうと思ったが、それより先にAが口を開いた。
「わたし、孤児院育ちではないんですが…成人直前に両親を事故を無くして、孤児みたいな状態になったんです」
話し始めた内容は想像がつくものだった。
「行く当てもなく1人で生きていく勇気もないわたしをシスターは迎え入れてくれたました。ここで自分と同じように、孤児になってしまった子たちを見守っていこうって言ってくれて」
「…じゃあそれからずっとここにいるんだな」
「はい。シスターには本当に感謝してます。ここでの生活は本当に素晴らしいもので、子どもたちにも慕われて」
「天職だったなのかもな。Aがピアノを弾いている間、子どもたちが必死にお前が奏でる曲を聴いていた。なにか惹かれるもんがあるんだろうよ」
「ふふふ、ユンギさんもですか？」
「俺？」
「はい、ユンギさんもわたしの弾く曲に惹きつけられましたか？」
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涼音1006(プロフ) - 藍さまのお話を読むと、しっとりした空気を感じたり、優しいメロディーが聞こえてくるようでとても心地良いです。１日の終わりにベッドの上でゆっくりと読み返すのが楽しみです。これからも応援しております！お身体にきをつけて下さい(*^^*) (2021年6月3日 20時) (
レス) id: 12686616a5 (このIDを非表示/違反報告)
涼音1006(プロフ) - 藍さまはじめまして！「キミと奏でる〜」のキラピュアなユンギ氏と（←言い方）、「ひと夏〜」のチャラ甘で砂糖増量（←言い方！）なユンギ氏が最高すぎて、ここ数日で一気読みさせて頂きました♪続→→ (2021年6月3日 20時) (レス) id: 12686616a5 (このIDを非表示/違反報告)
藍(プロフ) - 天然記念物さん» こちらこそ素敵なコメントありがとうございます。1番だなんて、そんな恐れ多いお言葉！嬉しい限りです。次回もキュンキュンできるような作品をお届けできるよう頑張ります。 (2018年8月20日 23時) (レス) id: 7c0b28e720 (このIDを非表示/違反報告)
天然記念物(プロフ) - とても面白かったです。今まで読んだ中で私的に1番キュンキュンしました！素敵な作品をありがとうございました。次回の作品も楽しみにしてます。 (2018年8月20日 22時) (レス) id: 70eef4ddd6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藍
| 作成日時：2018年8月12日 12時
