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ならばテヒョンに対しても自分はユンギの代わりを求めているのか。そう考えてAは分からなくなった。
ユンギに言えなかった苦しい気持ちをテヒョンには伝えられた。テヒョンが優しく包み込んでくれた。それがAは堪らなく嬉しかった。
「このままじゃ、オッパにもテヒョンにも悪いよね…ユンギだって何も言わないだけで気付いてる」
自分だったらユンギの異変に不思議と気付いてしまう。だから同じようにユンギもわたしの異変に気付ている。気付かないわけがなかった。
考えても考えたも余計に悩むだけだけれど、でもAはこの状態から抜け出さないといけないと思った。
何よりテヒョンの優しさを無駄にしたくなかった。
それから数日後。珍しくあまりAはユンギたちの担当になることがなく、久しぶりに彼らと仕事を共にする。
なんとかしなければと思うAだったが結局、勇気が出ず先輩とは連絡を取ることが出来ずに逃げたままだった。
「おはようございます！」
明るいAの声がスタジオに響く。リハーサルをするためにユンギたちは先にスタジオ入りしており、既に揃っていた。
そんな彼らをAは見ながら、衣装の準備を始める。
「ヌナ久しぶりだね！」
「うん、テヒョンも忙しかったみたいだね」
「そうなの。ヌナとご飯いけなくて残念だった」
「やっぱりテヒョニヒョンはAヌナのところに行ってたんですね。最近外出が多いと思ってたんです。しかもこの前宿舎にまで連れてくるし」
テヒョンとAの話を聞いてジョングクがむくれてやってくる。その後ろでジミンも「ずるいずるい」と騒いでいる。
「今度はみんなでご飯行こうね」
「はい、絶対ですよ。
むしろテヒョニヒョンは居なくてもいいです」
「なんでだよ！
俺は毎日だってヌナとご飯行きたいのに！」
「僕だって行きたいのに。ヌナ、連絡先教えて！」
「あ、俺も知りたいです」
ジミンが携帯を取り出しながらそう言えば、ジョングクも同じように自分の携帯を探る。それをテヒョンが邪魔しようとしてじゃれ合い始めるから、Aは笑う。
そんなAの笑顔を見て、テヒョンは安心する。良かった、ちゃんと笑えていると。
会えない間、テヒョンは心配で心配でずっとそわそわしていたのだ。
その間にAの彼氏が会いに来ていたらどうしよう。またお怯えて震えているのではないか。暴力は振るわれていないか…そんなことばかり考えていた。
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作者名：藍
| 作成日時：2018年11月15日 20時
