【TH】キミの一番が欲しい 2 (ページ5)

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12　記憶の想起　結末① ページ5

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Aが宿舎に行って、結局大騒ぎになった。しかし遅い時間までAを連れまわしたテヒョンが悪いということになり、Aが一晩泊まるのはみんな快諾した。

Aは言っていた通りに始発で自分の家に帰って行った。

まだ誰も起きていない宿舎を静かに去り、どきどきしながらマンションに戻って見れば。先輩が待っているということはなく、ホッとした。

しかし見ないようにしていた携帯の履歴を見れば、たくさんの着信とメッセージ。明け方近くまで続いており、Aはため息しか出なかった。

テヒョンの言う通り、話し合うべきだとは思う。でもこんな状態で会ってまとまな会話ができるとは思えなかった。

再びAは深いため息をついて、仕事に向かうための準備を始める。

今まではユンギだけがAの支えだった。けれど、生まれて初めてユンギと離れて生活するようになり、どんどん自分の夢へ向かって進んでいく兄を見てAは置いて行かれたような気分だった。寂しくて寂しくてしかたなかった。

そんな寂しさを埋めてくれて、優しく包み込んでくれたのが先輩だった。次第にユンギと同じようにAは先輩にも身を委ねられるようになり、愛しい気持ちも抱くようになった。

幸せだとずっとAは思っていた。でもそれは思い込んでいただけだったのだろうか。そう思わずにはいられなかった。

いくら先輩と一緒の時間を過ごしても、それはユンギには敵わなくて。どうしてもユンギを優先してしまうAがいた。でも20年近く生きてきて、Aにとってそれが当たり前のことだった。

Aとユンギはずっと2人でいた。2人で1人なのだと思い続けていた。大切な大切な相方だった。

それを理解してくれない先輩に対してAは不満があるし、決して先輩をないがしろにしてきたわけでもなかったので、分かってくれないことが嫌だった。

しかし今は先輩からの愛は感じられず、怯える毎日。でも恐怖の対象でしかないはずなのに、それでも好きだという気持ちは嘘ではないという思いから離れることはできないでいる。

しかし今はその幻から抜け出せそうだとAは感じた。結局、Aにとって先輩はユンギの代わりではなかったと思うのだ。

それはテヒョンに優しさに触れて気付いた。同じように先輩に優しくされ、自分の寂しさを埋めてくれた。そんな存在にただ甘えていただけ。

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