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「テヒョニ、ありがとうね」
「うん、やっぱりヌナはそうやって笑ってた方がいいよ」
「みんなにも迷惑かけちゃうからコンビニで何か買っていこうかな」
「いいね！俺、なんか小腹空いちゃったんだよね」
「まだ食べれるの？」
「ヌナはいらない？」
「わたしはまだお腹いっぱいだよ」
久しぶりにそんな下らない会話をしているとテヒョンもAも思った。このままなかったことにできればいいのに。Aはそう思わずにはいられなかった。
こうやってテヒョンの優しさに甘えて、テヒョンに縋りつきたくなる。でもそれは許されないこと。
それでもAはテヒョンの手を離すことはできなかった。この温もりにずっと包まれていたい、そう思った。
「おい、どういうことだ」
コンビニに寄ってさんざんお菓子などを買っていたら、宿舎に着いたのはだいぶ遅くなってしまった。
玄関の扉を開けて、最初に出会ったのはまさかのユンギだった。眉間にしわを寄せて、低い声でそう言うユンギにテヒョンは慌てる。
「あ、ユンギヒョン！ただいま！えっと、遅くなっちゃったからヌナ連れて来ちゃった！」
「テヒョンの言葉に甘えて来ちゃった。お兄様がちゃんとご飯食べてるから気になったし」
テヒョンとは反対にAは落ち着いていた。タクシーの中では彼氏からの電話で戸惑って、不安に瞳を揺らしていたというのに。ユンギの前では何ともないように振る舞っているAにテヒョンは心が痛んだ。
「ったく…勝手に来やがって。一言連絡入れろよ」
「連絡したら断ったでしょ。始発で帰るから、それまで居させてくれればいいの」
「え、帰っちゃうの？」
「明日はテヒョンたちの担当じゃないの」
「えーそうなの？」
「ジニヒョンたちになんて説明すんだよ」
「わたしが無理言ったって言うから」
「俺が無理やり連れてきたって言う！」
Aとテヒョンが同時にそう言って、ユンギは苦笑する。いつの間にかこの2人はすっかり仲良くなったみたいだと、ユンギは嬉しくなった。
Aが自分以外にもちゃんと心の底から信頼できて、頼れる人間が増えることはユンギにとっては望ましいことだった。
ユンギにとってはそれがメンバーだった。Aだって全くいないわけではないが、それでも一番はユンギで、Aにとってそれ以外はその他大勢だった。
自分の大切なメンバーがAにとってもそうなるのが嬉しくないわけがなかった。
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作者名：藍
| 作成日時：2018年11月15日 20時
