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「あー段ボールがひとりでに歩いているのかと思ったら、Aヌナだったんですね」
「グク…」
「小さくてヌナの姿が見えませんでした」
リハーサルが終わり、本番までの時間を潰していた時のこと。前から段ボールがこちらに向かってくるのを見て、一瞬ぎょっとした。
段ボールから脚が生えていているように思えるが、あれはAヌナだなって思ってにやりと笑う。相変わらずヌナは小っちゃくて可愛い。
「もう、グクはすぐにわたしを小さいって言うんだから。ユンギに似たの？」
「確かにヒョンもよくチビって言ってますね。でも俺は馬鹿にしてるわけじゃないですよ。可愛いなって思って言ってるんです」
「今のは完全に馬鹿にしてたでしょ！」
「あはは！ごめんなさーい」
笑って謝ればヌナは「もう！」って言うだけで怒る様子はない。やっぱりヌナは俺に甘い。
「手伝いますよ」
「これはわたしの仕事だからいいの」
やっぱりヌナはそういうところはしっかりしてて、絶対に俺たちに手伝わせることはない。
でも小さい体で段ボール2個も抱えて歩いてて。大丈夫かな、とは思う。ヌナは頑なだから持たせてくれることはないだろうから、俺もそれ以上は言わない。
「Aヌナは俺に甘いよね。俺だけじゃなくて、ヒョン達みんなにも」
「なあに、突然。可愛い可愛い弟たちだもん甘くなっちゃうよ」
「でもさ、テヒョニヒョンにはもっと甘いよね？」
「グク…？」
テヒョニヒョンの名前を出したら驚いた顔をするヌナ。ねぇAヌナはヒョンのことどう思ってるの？俺達やユンギヒョン以上の気持ちがある？それともやっぱりユンギヒョンが一番？
「グクは…何がいいたいの？」
「分からない？」
恐る恐る聞いてくるヌナにそう答えれば、黙り込んでしまった。ヌナが黙っちゃうのは珍しい。それだけ話し辛いことなんだろうけど。
「俺がヌナの気持ち聞いても意味ないから、無理には聞かないけど。でも俺はヌナのこともユンギヒョンのこともテヒョニヒョンのことも大好きだから」
「グク…」
「でも一番愛してるのはAヌナだからね。きっとヒョン達もそう。だからヌナはちゃんと自分の幸せを掴んでね」
「もう、グクも大人になっちゃったね。そんなこと言われるとは思わなかった」
テヒョニヒョンと同じようなこと言っていて苦笑する。やっぱり2人はお似合いなんじゃないかな。
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作者名：藍
| 作成日時：2018年11月15日 20時
