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「とりあえずこの欲張りセット2人前で。あとサムギョプサル追加で、野菜の盛り合わせも。それにクッパとチヂミ、キムチ盛り合わせ…生ビールとコーラで」
店に着いてメニューを見ながらどんどん注文していくヌナ。いつもと逆だった。
いつもは俺がどんどん頼んでそれをヌナが「そんなに食べれないでしょ」って止めるのに。
ヌナは俺の止める間もなく一通りの注文を終えてしまった。別に小食でもないし、よく食べる方だからいいけど。
すぐに飲み物が運ばれてきて2人でグラスとジョッキを合わせる。かと思えば、ヌナは勢いよくビールを飲み始める。あっという間に半分に以下になったジョッキを見てまた驚く。
「ヌナ…？」
俺が驚いてヌナを見るからか、言いたいことは分かると苦笑しながら口を開く。
「今日は飲みたい気分なの」
「珍しいね。仕事に響くからってあんまり飲まないのに」
「最近忙しいからね。今日はちょっとバイヤーともめて気持ちも落ち着かなかったし」
「そうなんだ…大丈夫？」
「大丈夫だよ。ちゃんと解決したから。でも頑張った自分にご褒美ね」
そうやって可愛く笑ってヌナは再びビールに口つける。そのタイミングでキムチ盛り合わせが運ばれてきた。ヌナはすかさず、ビールのお代わりを頼んでいた。
俺は酒が飲めないから付き合ってあげることはできないけど、話を聞くことはできる。
今日はヌナが飲みたい気分なら存分に飲ませてあげようと思った。どうせヌナはヒョンと一緒で酒に強いし。
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「で、ユンギがね…」
1時間ぐらい経っただろうか。一通り料理も運ばれてきて、どんどんヌナは肉を焼いて俺の皿にも自分の皿にも次々入れていく。そしてお酒と一緒にどんどん食べる。
何回か生ビールをお代わりしたと思ったら、気付いたら酒はソジュに変わっていて。そのソジュの瓶も何本目になったか分からない。
いつも以上に饒舌になったヌナの口からユンギヒョンの名前ばかり出てくるようになって俺は苦笑した。こんな時でもヒョンかって。またユンギヒョンに嫉妬してしまう。
ユンギヒョンの話をしている時はとても楽しそうで、嬉しそうで。もちろん仕事の話をしている時も、俺の話を聞いている時もそうだったけど。やっぱりヒョンの話をしてる時が一番かなって思って悲しくなる。
それでもヌナが楽しそうならって遮らないでヒョンの話を聞いて。嫉妬してるくせに俺からヒョンの話を振ったり。本当に自分の想いと行動が矛盾してる。
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作者名：藍
| 作成日時：2018年11月15日 20時
