09 記憶の想起 亀裂�� ページ36
.
「俺の会社に来るかと思ったのに」
久しぶりに先輩とAは顔を会せた時のこと。Aの卒業が決まり、卒業祝いとして先輩がAを食事に連れて行ってくれたのだ。
そこでAの卒業後の勤め先の話になり、先輩がそのように不満を漏らしたのだ。
「Aの会社、あまり大きくないだろう？」
「ずっとそこで働くつもりはないから、別に大きさはよかったの。それに学校が推薦したところだからそんなに悪くないと思うよ」
「そりゃあ最近は実力をつけているとこだし、一番勢いはあるだろうけど。一緒に働けたらよかったのに」
「ふふ、ライバルになっちゃうね」
「負けるつもりはないけど、Aとの時間がまた少なくなるのは嫌だな」
「そうだね。まだまだオッパも忙しいだろうし、わたしもきっと今まで以上に大変だろうから」
先輩はAとの距離が更にできることに不満いっぱいだったが、A自身はまた夢に一歩近付くわけだから期待に満ちていた。
早く働きたいという思いのが強かった。
「なぁ…俺達一緒に住まないか？俺がAの家に行ってもいいし、Aが来てくれてもいい。嫌ならもっと広い家を借りてもいいし」
「え…」
思ってもいなかった申し出にAは戸惑う。
「一緒に…？」
「うん。
そしたらすれ違いの生活でも家に帰れば会えるし」
「うん…」
「嫌だ？」
そんなこと考えたこともなかった、というのがAの思いだった。
そして今の家を出る気はなかった。それはユンギが帰る場所だったから。ユンギは練習生時代から宿舎に住んでいる。
実家の大邱は遠いからそんなに頻繁に帰ることはできない。そんな中でAの家はユンギにとって第二の家だった。
Aは一度も先輩を家に泊めたことはない。家に上げた回数だって片手で足りるほどだ。なんだかユンギとの空間を壊されそうで怖かったのだ。
結局、Aは彼氏より双子の兄であるユンギを優先して。ユンギのがAにとって絶対だった。
先輩のことが嫌いなわけではない。付き合うようになって好きという気持ちも芽生えた。
先輩に会いたい、先輩に触れたい、抱きしめられたい。そんな想いだって確かにある。
でもユンギの存在を思い出すと、どうしてもそれ以上にはならないのだ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1312人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
藍(プロフ) - Yukiさん» お待たせしてしまってすみません。そしてようやく2章に移行しました。引き続きお楽しみください！ (2018年11月15日 21時) (
レス) id: 66eaabbd56 (このIDを非表示/違反報告)
Yuki - キャー！更新待ってました！！！やばいです！もう通知来るたびにやけてます(・∀・)ﾆﾔﾆﾔ (2018年11月14日 20時) (レス) id: 5ccac3abe1 (このIDを非表示/違反報告)
藍(プロフ) - Yukiさん» ありがとうございます！お待たせしてしまってすみませんでした。ユンギお兄様好きって言っていただけで嬉しい。わたしも好きです (2018年11月14日 0時) (レス) id: 66eaabbd56 (このIDを非表示/違反報告)
Yuki - 更新お疲れ様です！ですね笑笑好きですよユン兄（・∀・）ﾆﾔﾆﾔ (2018年11月10日 12時) (レス) id: 5ccac3abe1 (このIDを非表示/違反報告)
藍(プロフ) - Yukiさん» そう言ってもらえて嬉しいです。せっかくテテ出てきましたが、またユンギお兄様のターンです笑 (2018年11月4日 22時) (レス) id: 66eaabbd56 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：藍
| 作成日時：2018年10月30日 19時
