08 記憶の想起 変化�� ページ33
.
「デビューが決まった」
そうユンギからAに連絡があったのは、バイト終わりのことだった。Aはバイト先から家に帰る途中、驚きと嬉しさで悲鳴を上げた。
すぐに口を塞いで、まわりを見渡す。幸い、夜も遅くて歩いている人は誰も居なかった。
Aはもう一度ユンギからきたメッセージを見返す。
「デビュー…とうとうユンギがデビューするんだ」
なんとも言えない気持ちがAを支配した。
ユンギのデビューは素直に嬉しい。ユンギの苦労を一番間近で見てきたのはAなのだから。だから一番に「おめでとう」と伝えたいと思っていた。
しかしそれと同時にAは寂しさもあった。ユンギがデビューしてしまったらもっと遠い存在になってしまうのではないかと思ったのだ。
離れて暮らすようになっただけでもあんなに寂しかったのに、芸能の世界に入ってしまったら自分との距離は計り知れない。そんなのは嫌だ。
そんな思いがAの頭を駆け巡り一気に不安になった。
「ユンギ…」
ユンギからのメッセージに「おめでとう」と返事を返そうとしていたが、削除してそのまま電話をかける。しかし数コール鳴ってもユンギは応答せず、そのまま留守電に繋がる。
Aは小さくため息をついて通話を切る。デビューも決まったし、きっと忙しくしているんだろう。それか一緒にデビューする人たちとお祝いをしているかもしれない。
確か、ナムジュンくんとホソクくんだったか。
Aはユンギに会いに行った時に紹介された同じ練習生の子たちの顔を思い出していた。
いつまでも暗い夜道で突っ立て居るわけにもいかない。ユンギからは折り返しがありそうもないから、早く家に帰ってしまおう。そう思ってAは家路を急いだ。
ユンギがデビューするということは、一歩夢に近付いたということだ。最初からユンギのが自分の夢に向かって前進していた。Aはそのユンギの背中を追いかけ続けている。
Aはまだ専門学生だ。卒業まではまだ半年以上もある。今では学校の垣根を超えて、見習いとして実践の経験も積ませてもらっているA。
しかしA自身それだけでは足りないと思っている。
早く学校を卒業しないと。見習いだってもっともっと経験を積んで、早く一人前にならないと。そして最終的にユンギのスタイリストになるんだ。
そう意気込むAは、ユンギに対する寂しさを感じていたはずなのに、もうすっかり前を向いて歩いていた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1312人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
藍(プロフ) - Yukiさん» お待たせしてしまってすみません。そしてようやく2章に移行しました。引き続きお楽しみください！ (2018年11月15日 21時) (
レス) id: 66eaabbd56 (このIDを非表示/違反報告)
Yuki - キャー！更新待ってました！！！やばいです！もう通知来るたびにやけてます(・∀・)ﾆﾔﾆﾔ (2018年11月14日 20時) (レス) id: 5ccac3abe1 (このIDを非表示/違反報告)
藍(プロフ) - Yukiさん» ありがとうございます！お待たせしてしまってすみませんでした。ユンギお兄様好きって言っていただけで嬉しい。わたしも好きです (2018年11月14日 0時) (レス) id: 66eaabbd56 (このIDを非表示/違反報告)
Yuki - 更新お疲れ様です！ですね笑笑好きですよユン兄（・∀・）ﾆﾔﾆﾔ (2018年11月10日 12時) (レス) id: 5ccac3abe1 (このIDを非表示/違反報告)
藍(プロフ) - Yukiさん» そう言ってもらえて嬉しいです。せっかくテテ出てきましたが、またユンギお兄様のターンです笑 (2018年11月4日 22時) (レス) id: 66eaabbd56 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：藍
| 作成日時：2018年10月30日 19時
