彼女が笑ったとき 5 (ページ14)

今日:2 hit、昨日:35 hit、合計:119,435 hit

・ページ14

貴方「オッパっ…」

小さいけどその声は確実にAちゃんで。

え！？って思ってすぐドアを開ければ
息の切れた彼女が周りを気にしながら安堵したように「良かった…」と口にする。

JM「どうしたの？挨拶ならさっきしたのに…」

もう一度彼女に会えた嬉しさを隠し質問する。
とりあえず廊下で話すのは危険なので少し手を引いて僕の部屋にさりげなく入れる。

貴方「何度もすみません…
あのこれ、渡したくて」

JM「なに…？」

渡してきたのは紙袋。
そこからはさっきと似たような匂いがした。

貴方「やっぱり皆さんにもたくさんお世話になったので渡したくて。今日スケジュール終わりに急いで作りました。」

それは僕にくれたクッキーと似たお菓子が入っていて。
メンバー全員分作ったらしい。

貴方「私は明日帰国できないのでジミンさんに渡して欲しくて。でもマネージャーが厳しいからさっきは渡しそびれちゃって…渡して頂けますか…？」

不安気に僕を見上げてくるAちゃんがとても可愛い。
こんなの断れるわけないじゃん。本当は僕だけが良かったけど。

JM「うん、渡しとくよ」

貴方「ありがとうございます！」

嬉しそうに笑ったAちゃん。
あぁ、そういえば去年も最初に彼女からのバレンタインを受け取ったのは僕だったな。

あの時皆んなに秘密にして僕だけのものにしてれば
皆んなが彼女にホワイトデーを贈ることもなかったし
今も何か変わってたかもしれない。

そう思うけど、やっぱり彼女の善意を無駄にはしたくないし彼女との良好な関係が続くならそれでいいと今は思う。

貴方「あ、これは普段の感謝の気持ちなのでお返しを求めてる訳ではないですよ…！ほんとにケータリングと思っていただければ…」

JM「ははっ、こんな美味しそうなお菓子がケータリングに出てくるの?そんな現場入れたら毎回でもお礼したくなるなぁ」

貴方「…もうオッパ！ほんとにそんな下心はないんです！」

ほんとに困った顔をしてる彼女をからかうのが面白い。
昔に比べてよく感情が表に出るようになったと思う。
その原因に僕が少しでも関われていたらいいな。
だって今僕の目の前でこんなに笑ったり困ったりしてくれるから。

貴方「じゃあ、おやすみなさいオッパ」

JM「おやすみ、Aちゃん」

踵を返して取手を握った彼女の肩を掴んで振り向かせるとその勢いのまま抱きしめた。