093 ページ43
.
「Aヌナ、アイメイク崩れたんで直して下さい」
たまたまジミンさんの汗を拭きとり、メイク直しをしている時だった。ジミンさんにくっ付くようにやってきた彼がわたしの顔を覗き込むようにお願いしてきて、つい手に力がこもってしまった。
「あ、ごめんなさい。痛くなかったですか?」
「ううん、大丈夫。僕のが終わったならジョングギのもやってあげて」
「は、はい……」
ふんわりと笑って、わたしを彼の方へ向かせるジミンさんに苦笑しか返せない。最近は彼のメイク直しも落とすのも避けていたというのに。本人もわざわざわたしのところに来なかったからそれが出来ていたのだが、まさか彼から言いに来るなんて。ここで断ることなんでできないから、しかたなく彼の崩れたメイクを直す。
ジミンさんはそのまま離れずに、ぱたぱたとうちわを扇ぎながらわたしに話しかけてきた。彼のメイクをする時は苦しくなるから、気が紛れてちょうどいい。
「やっぱり暑いね。汗がやばいんだけど」
「熱気も凄いですもんね。さすがラテンって感じです」
いつもより汗が滴るのか、確かにメイク崩れは多かった。崩れないようにと、カバーしているつもりだけれど、まだまだ腕が足りないみたい。そうやって話していたら、突然目の前の彼の顔が下の位置に移動した。
「あ、ヌナごめんなさい。やりにくくかったですね」
「え、あ……だいじょうぶ、です」
そう言う彼は、何を思ったのか屈んで視線を合わせてきた。突然のことに戸惑う。確かに身長差があるから突っ立っているのは腕を伸ばさなければいけないけれど、別に問題なかったのに。わざとらしく顔を近付けてくるから、思わず一歩下がってしまった。
「なんで下がるんですか」
「えっと……」
「ふふ、なんだかソニヌナとは逆だね」
「ソニヌナは強引なんで」
「でも2人の相性もいいみたいだし、仲良くなったんだね」
にっこりと効果音が付きそうなほどの笑顔でジミンさんに言われてたじろいでしまう。そんな仲良さそうに見えたのだろうか。でも、最近彼と話すことが増えてしまったし……周りからもそう見えているってことよね。
「もしかして担当変更?あ、もしかしてもうしてるの?」
「そんなことないです」
「あ、そうなの?」
ジミンさんの言葉にすかさず違うと否定すれば、驚かれながらもくすくす笑っていた。
.
1519人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「BTS」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
藍(プロフ) - Agust dさん» あわわ!むしろお勉強のお邪魔をしていませんか?気分転換になったのならいいのですが。わたしはいつも素敵なお言葉に励まされております。本当にありがとうございます! (2019年12月3日 1時) (レス) id: 7c0b28e720 (このIDを非表示/違反報告)
Agust d(プロフ) - 私現在、試験期間中なのですが疲れたときにちょうど更新通知が来ていて「藍さんッッ!!!!」ってなりました (2019年12月1日 12時) (レス) id: fea73733b9 (このIDを非表示/違反報告)
藍(プロフ) - exol0725puさん» ゆんぎさんはいつもさらっと核心ついたり、周りを冷静に見ているイメージなので…格好良くしてしまいがちです笑 コメントありがとうございました! (2019年12月1日 10時) (レス) id: 7c0b28e720 (このIDを非表示/違反報告)
藍(プロフ) - babe305901さん» わーありがとうございます!嬉しいです。これからも素敵なジョングクをお届け出来るように頑張りますね。 (2019年12月1日 10時) (レス) id: 7c0b28e720 (このIDを非表示/違反報告)
exol0725pu(プロフ) - ユンギさんめっちゃかっこいい( (2019年11月30日 11時) (レス) id: 0e1f656f1e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:藍 | 作成日時:2019年11月10日 9時