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「Aちゃんも朝日見に来たの?」
「えっと……目が覚めちゃったんです。そしたら、窓から海が見えたので」
「そうなんだ」
1人だと思った砂浜にはジンさんが居て。どうやら反対方向からのんびり歩いていたみたいだった。
「空気が澄んでて気持ちいいよね」
「はい。気持ちがすっきりします」
「僕も。また頑張ろうって思える」
いつも柔らかい笑みをみんなに向けて、周りを和ませて。テンション高めに場を盛り上げて、楽しい空間にしている彼だから。たまにはのんびりと静かに過ごしたいのかな。
そう考えたら、わたしはお邪魔かなと思えて。そっと、海を見つめているジンさんかは離れようと、一歩進む。
「Aちゃん、最近どう?」
「え?」
こちらに振り向かずそう聞かれて、足を踏み出したまま立ち止まる。
「アメリカに着いた初日は体調悪そうだったけど、もう崩してない?」
「あ……大丈夫、です。あの時はいろいろありがとうございました」
「ううん。Aちゃんにはいつもお世話になってるから」
「そんな……」
くるっとジンさんは振り向いて、いつもの柔らかい笑みをわたしに向けた。
「あまり、いろいろ溜め込んじゃだめだよ?」
「え……?」
びくりと、反応してしまう。彼のことで苦しくなったり、不安になっていることがバレているのかと。彼との関係を知られているのかと。
「だい、じょうぶ……ですよ。慣れない地を転々とするのは大変ですけど。いろんな所に行けるのは楽しいですから」
今の、ワールドツアーでのことを言っているんだよね。大変だよね、無理しないでねって気にかけてくれてるんでしょう?初日、わたしが体調悪そうにしていたから。そうだよね。
「……Aちゃん、無理しそうだから。それにソニヌナは今大変だから相談しなさそうだし、ジアちゃんには先輩らしく振舞うだろうし」
ああ、本当に彼はよく見てるし、優しい人なんだな。そんな風に思ってくれているなんて知らなかった。
「きっと、わたしより思うように仕事ができないオンニや、初めての海外での仕事になるジアちゃんのが大変だと思いますから。わたしは大丈夫ですよ」
「ほら、そうやって自分のことより人のこと。だめだよ、溜め込んじゃ。もっと我が儘になっていいんだからね」
ふんわりと笑って気にかけてくれるジンさんに、また泣きそうになった。ジンさんの優しさはすごく身にしみる。
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藍(プロフ) - Agust dさん» あわわ!むしろお勉強のお邪魔をしていませんか?気分転換になったのならいいのですが。わたしはいつも素敵なお言葉に励まされております。本当にありがとうございます! (2019年12月3日 1時) (レス) id: 7c0b28e720 (このIDを非表示/違反報告)
Agust d(プロフ) - 私現在、試験期間中なのですが疲れたときにちょうど更新通知が来ていて「藍さんッッ!!!!」ってなりました (2019年12月1日 12時) (レス) id: fea73733b9 (このIDを非表示/違反報告)
藍(プロフ) - exol0725puさん» ゆんぎさんはいつもさらっと核心ついたり、周りを冷静に見ているイメージなので…格好良くしてしまいがちです笑 コメントありがとうございました! (2019年12月1日 10時) (レス) id: 7c0b28e720 (このIDを非表示/違反報告)
藍(プロフ) - babe305901さん» わーありがとうございます!嬉しいです。これからも素敵なジョングクをお届け出来るように頑張りますね。 (2019年12月1日 10時) (レス) id: 7c0b28e720 (このIDを非表示/違反報告)
exol0725pu(プロフ) - ユンギさんめっちゃかっこいい( (2019年11月30日 11時) (レス) id: 0e1f656f1e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藍 | 作成日時:2019年11月10日 9時