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「だめですか?」
黙ったままだったからかジョングクさんが顔を覗き込んできて、また驚く。い、いけめんだから顔近付けてこないで。
「あ、えっと、ごめんなさい。その、仕事先に連絡入れたくて。無断欠勤しちゃったことになってると思うから…」
「僕の携帯使いますか?番号覚えてる?」
「いいんですか?覚えてるので有り難いです」
「どうぞ」
そう言ってポケットからジョングクさんが携帯を取り出す。渡された携帯はわたしが手に持っている携帯と同じだった。
機種が被ることは多いと思うけどそうではなくて、携帯カバーが同じだったのだ。
「ヌナ?」
差し出された携帯を受け取らないわたしを不思議に思ったのかジョングクさんが口を開く。
「あ…ごめんなさい。携帯、一緒だと思って…」
「あぁ…本当ですね。このカバーいいですよね」
「あ、うん、そうだね」
なんだろう、この違和感。ジョングクさんの携帯カバーに見覚えがあるのに自分の携帯のカバーには違和感を感じる。
けど考えても分からないし、ジョングクさんの携帯を借りて仕事先に電話をかける。
まだ早い時間だったけれど数コールで電話が繋がる。事故に遭ったことを伝えて暫く仕事に出れないことを伝えた。
そうすればすぐに納得してくれて呆気なく通話は終わった。あまりにも早い了承で通話が終わっても暫くそのままでいた。
「ヌナ?」
「あ、携帯ありがとうございました」
再び固まったままのわたしに声を掛けるジョングクさんにハッとして、慌てて携帯を返す。
「仕事休めないって言われたの?」
携帯を受け取って自分のポケットにしまいながらジョングクさんは心配そうな顔してそう聞いてくる。それにわたしは首を横に振る。
「ううん…むしろ簡単にオッケーしてくれて…」
「良かったじゃないですか」
「そう、なんだけど…体調不良で1日休むのでも嫌味言われてたのに、長期の休みになるぐらいなら辞めろって言われるかと思ってた」
そう、そうなのだ。なんだか店長の言葉にも棘がなかったし。拍子抜けした。職を失わずに済んだのはいいけど。
「復帰してほしいほどヌナが必要なんじゃないんですか?」
「それはないと思うけど…人手不足だろうけどわたしじゃなきゃ駄目な仕事でもないし…」
そんなことをぐちぐち言っていてハッとする。なに、ジョングクさんにそんなどうでもいいこと話してるのよ。
「ごめんなさい、こんなこと聞きたくないですよね…」
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Yuki - ありがとうございます!では、遠慮なく、、、。本当に藍さんの作品に出合えてよかったです!無理せず更新頑張ってください!!! (2019年1月30日 23時) (レス) id: 5ccac3abe1 (このIDを非表示/違反報告)
藍(プロフ) - Yukiさん» いつもいつもyukiさまの温かいコメントにほっこりしていますので。いくらでもコメントして下さい!嬉しいので有難いです。もうすぐ1章終わりますので引き続きお楽しみください! (2019年1月30日 19時) (レス) id: 7c0b28e720 (このIDを非表示/違反報告)
藍(プロフ) - みきさん» コメントありがとうございます。こちらまで読んで頂いて嬉しいです。もしかして、もしかしてです。もうすぐ明らかになりますのでお待ちくださいね。 (2019年1月30日 19時) (レス) id: 7c0b28e720 (このIDを非表示/違反報告)
Yuki - いえいえ!逆に、コメントしすぎちゃうとダメかなって思って、でも藍さんとお話したくなっちゃって、、、笑笑 お言葉に甘えてこれからは毎日のように送っちゃってもいいですか!!!ウザかったら無視してくれちゃって大丈夫です!更新頑張ってください! (2019年1月29日 22時) (レス) id: 5ccac3abe1 (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - ずっとずっともしかして、と思っていましたが、ヒロインヌナ記憶がないですよね?でもふとした瞬間に体が動いてますね…そろそろ涙が止まらなくなってきました (2019年1月28日 23時) (レス) id: cd9810eca3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藍 | 作成日時:2019年1月20日 1時