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それからすぐに暗くなって予告が始まって。2人して「あ、これ面白そう」とか「続編やるんだー」なんて小さい声で話してて。小さい声で話す為に口元近付けてくるからドキドキして。
でもそれ以上に、その間絶え間なくジョングクさんから手が伸びてわたしが持っているポップコーンを食べるから、その手に意識がいっていた。わたしが持つって言うんじゃなかった…
視線はスクリーンを向いているんだけど。心なしかわたしに体が寄っている気がするし、たまに触れ合ってしまう手にどきどきして熱を持つからどうしようもなかった。
長い予告が終わってようやく本編に始まる前のオープニングロゴが出てくる。その時、目の前にジョングクさんの手が迫ってて声を上げそうになった。
「口開けて」
小さい声に言われるまま開けてしまったら、そこにポップコーンを放り込まれる。
「ヌナ、全然食べてないでしょ。なくなっちゃうよ」
ちらっと横を見れば悪戯が成功した子どもみたいに楽しそうに笑っていて。わたしは小さく頷きながら口の中のポップコーンを飲み込む。
ジョングクさんの食べるスピードが早くて。うかつに手を出したらその手に触れてしまいそうで。そうじゃなくても取る瞬間に一瞬触れ合うだけでも熱を持ってどうしようもなくなるのに。しっかり触れてしまったらって思うと手が出せなかった。
結局、映画が終わるまでわたしは積極的にポップコーンに手を出せなくて。でもジョングクさんがちょくちょくわたしの口にポップコーンを持ってくるから食べさせられることになって。そっちの方が恥ずかしいじゃないかって自分で食べようと思った時にはもうなくなっていた。
「あー面白かった!」
「本当ですね。わたしすっかり騙されました」
映画が終わりエンドロールまでしっかり見届ければ、パッと電気が付いて明るくなる。既にジョングクさんはマスクをつけてキャップも被っていた。
隣にいるジョングクさんの近さにどきどきしっぱなしだったけれど、映画は評判通り面白くて。あっという間に引き込まれて夢中になって見ていた。
「まさかジョンがボスだったなんて。最後の最後に現れた時、感動しました」
「あれはズルいよね〜めちゃくちゃ格好良かった」
映画館を出ても熱は冷めず、2人して感想を言い合う。気付いたらまたジョングクさんと手が繋がっていて驚いたけれど、だんだん慣れてきてしまっている自分にもっと驚いた。映画の興奮もあるかもしれない。
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Yuki - ありがとうございます!では、遠慮なく、、、。本当に藍さんの作品に出合えてよかったです!無理せず更新頑張ってください!!! (2019年1月30日 23時) (レス) id: 5ccac3abe1 (このIDを非表示/違反報告)
藍(プロフ) - Yukiさん» いつもいつもyukiさまの温かいコメントにほっこりしていますので。いくらでもコメントして下さい!嬉しいので有難いです。もうすぐ1章終わりますので引き続きお楽しみください! (2019年1月30日 19時) (レス) id: 7c0b28e720 (このIDを非表示/違反報告)
藍(プロフ) - みきさん» コメントありがとうございます。こちらまで読んで頂いて嬉しいです。もしかして、もしかしてです。もうすぐ明らかになりますのでお待ちくださいね。 (2019年1月30日 19時) (レス) id: 7c0b28e720 (このIDを非表示/違反報告)
Yuki - いえいえ!逆に、コメントしすぎちゃうとダメかなって思って、でも藍さんとお話したくなっちゃって、、、笑笑 お言葉に甘えてこれからは毎日のように送っちゃってもいいですか!!!ウザかったら無視してくれちゃって大丈夫です!更新頑張ってください! (2019年1月29日 22時) (レス) id: 5ccac3abe1 (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - ずっとずっともしかして、と思っていましたが、ヒロインヌナ記憶がないですよね?でもふとした瞬間に体が動いてますね…そろそろ涙が止まらなくなってきました (2019年1月28日 23時) (レス) id: cd9810eca3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藍 | 作成日時:2019年1月20日 1時