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「お、はようございます…」
退院してから初めての出勤。2ヵ月以上も仕事を休むことなんて初めてで。ここに来るまでの道のりも何だか変わったような気がした。
それは退院して家に帰った時もそうで。2ヵ月以上空けていたはずなのに家は意外と綺麗で。わたしの部屋ってこんな感じだったっけ、なんてそんな変なこと思って。でもずっと家に帰ってなかったからなんだか新鮮な感じがするだけなのかもしれない。
いつも当たり前に使っていた物、視界に入っていた物だから、長いこと見ていないだけでその当たり前がそうではなくなり、改めてこんなのあったなって認識しているかもしれない。
でもなんだかわたしだけ時間に置いてかれたような感覚に襲われて。出勤するまでの間もそわそわしていた。それは出勤してからも同じだった。
「ああAちゃん大丈夫?随分酷い事故だったのね、こんな長いこと休むなんて」
最初に声をかけてくれたのはわたしが働き始めた時からいる古株のウンジュさんだった。彼女には働き始めてから沢山お世話になっているので全く連絡できなかったのは心苦しい。
「ウンジュさん、ご心配おかけしてすみませんでした。携帯も壊れてしまって連絡できなくて」
「いいのよ。Aちゃんが無事でよかったわ」
「ありがとうございます」
「早く店長に挨拶してきなさい」
「はい…」
ウンジェさんに促され奥の部屋へと進む。店長と顔を会せるのが実は一番緊張するのだ。店長は悪い人ではないのだが厳しい人で。風邪で1日休むのでも嫌な顔をされたぐらいだ。
もちろんぎりぎりの人手で仕事を回しているから急な休みが困ることは分かっているのだけど…それでも言葉がきついので少し怖い。
「店長、お久しぶりです。長い間お休みしてしまってすみませんでした」
扉をノックして中に入りすぐさま謝れば店長はあまり気にしていないようで。
「おう、今日から復帰か。大変だったみたいだな。もういいなら今日からみっちり働いてもらうから」
「あ、はい…」
なんだか拍子抜けしてしまった。あんまりスタッフに関心がない人ではあったけど嫌味や文句を言われずに普通に仕事を再開できるとは思っていなかった。でも何も言われないことにこしたことはないし良かったのかな…
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Yuki - ありがとうございます!では、遠慮なく、、、。本当に藍さんの作品に出合えてよかったです!無理せず更新頑張ってください!!! (2019年1月30日 23時) (レス) id: 5ccac3abe1 (このIDを非表示/違反報告)
藍(プロフ) - Yukiさん» いつもいつもyukiさまの温かいコメントにほっこりしていますので。いくらでもコメントして下さい!嬉しいので有難いです。もうすぐ1章終わりますので引き続きお楽しみください! (2019年1月30日 19時) (レス) id: 7c0b28e720 (このIDを非表示/違反報告)
藍(プロフ) - みきさん» コメントありがとうございます。こちらまで読んで頂いて嬉しいです。もしかして、もしかしてです。もうすぐ明らかになりますのでお待ちくださいね。 (2019年1月30日 19時) (レス) id: 7c0b28e720 (このIDを非表示/違反報告)
Yuki - いえいえ!逆に、コメントしすぎちゃうとダメかなって思って、でも藍さんとお話したくなっちゃって、、、笑笑 お言葉に甘えてこれからは毎日のように送っちゃってもいいですか!!!ウザかったら無視してくれちゃって大丈夫です!更新頑張ってください! (2019年1月29日 22時) (レス) id: 5ccac3abe1 (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - ずっとずっともしかして、と思っていましたが、ヒロインヌナ記憶がないですよね?でもふとした瞬間に体が動いてますね…そろそろ涙が止まらなくなってきました (2019年1月28日 23時) (レス) id: cd9810eca3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藍 | 作成日時:2019年1月20日 1時