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「お疲れ様でした。検査の結果、今のところ問題はありません」
事故に遭って最初に検査をした時みたいにたくさんの検査をさせられた。それもしょうがないことかもしれないけど、その検査もようやく終わって先生と向き合って話を聞く。「今のところ」という言葉に引っ掛かりを覚える。
「頭をぶつけているので後遺症などの心配があります。特に脳は怖いですからね。ただ退院後は脳外科ではなく神経内科の方に通ってもらうことになると思います」
「え…そうなんですか?」
「はい。入院中なにか変わったことはありませんでしたか?何か違和感があったり頭が痛んだり記憶違いがあったりなど」
「いえ…特には、なかったと思います…包帯が取れてから頭の痛みはありませんし…違和感も…記憶もしっかりしていると思います」
「そうですか。それならば正直Aさんは何が問題があるのだろうって思うかもしれませんね」
先生の言葉にその通りなので静かに頷く。しかし先生は難しい顔をしたままだった。
「わたしの方からはまだ通院が必要、としか言うことができません。事故に遭ってすぐ記憶が混乱していたのを覚えていますか?」
「混乱…」
「事故のことをあまり覚えていなかったでしょう?」
「はい…でも今はちゃんと何で事故にあったのか覚えています」
話ながら何だか引っかかりを感じたけどそれが何か分からなくて深くは考えないことにした。
「そうですね。しかし今後また後遺症でなにかあったらいけないので経過を見させてください」
「分かりました…あの、それってもしかしてジョングクさんから…?」
「…心配だということは聞いていますが医師としてそういう判断をさせてもらいました」
「そう、ですか…」
わたしだけではなくジョングクさんが先生とわたしの経過を話していることは知っていた。
わたしは成人しているので保護者はいらない。でも相談する家族もいないからずっと面倒を見てくれているジョングクさんにも先生は伝えているのだ。
だから凄く気にかけてくれているジョングクさんがお願いしたのかなって思ったけれど…医師の判断と言われてしまえばわたしは何も言えなかった。
退院は明日だ。退院後の通院の予定を立ててわたしは部屋を出る。
通院といっても毎日ではないし月に2回程度だった。それぐらいでいいのかって驚いたけれどリハビリで暫くは週1で来ないといけないから変わりないかって思った。
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Yuki - ありがとうございます!では、遠慮なく、、、。本当に藍さんの作品に出合えてよかったです!無理せず更新頑張ってください!!! (2019年1月30日 23時) (レス) id: 5ccac3abe1 (このIDを非表示/違反報告)
藍(プロフ) - Yukiさん» いつもいつもyukiさまの温かいコメントにほっこりしていますので。いくらでもコメントして下さい!嬉しいので有難いです。もうすぐ1章終わりますので引き続きお楽しみください! (2019年1月30日 19時) (レス) id: 7c0b28e720 (このIDを非表示/違反報告)
藍(プロフ) - みきさん» コメントありがとうございます。こちらまで読んで頂いて嬉しいです。もしかして、もしかしてです。もうすぐ明らかになりますのでお待ちくださいね。 (2019年1月30日 19時) (レス) id: 7c0b28e720 (このIDを非表示/違反報告)
Yuki - いえいえ!逆に、コメントしすぎちゃうとダメかなって思って、でも藍さんとお話したくなっちゃって、、、笑笑 お言葉に甘えてこれからは毎日のように送っちゃってもいいですか!!!ウザかったら無視してくれちゃって大丈夫です!更新頑張ってください! (2019年1月29日 22時) (レス) id: 5ccac3abe1 (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - ずっとずっともしかして、と思っていましたが、ヒロインヌナ記憶がないですよね?でもふとした瞬間に体が動いてますね…そろそろ涙が止まらなくなってきました (2019年1月28日 23時) (レス) id: cd9810eca3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藍 | 作成日時:2019年1月20日 1時