【JK】優しさしか溢れてない世界で

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「好調だよ。よく頑張りましたね」


レントゲン検査をして先生に状態確認してもらって漸くその言葉をもらえた。


「ありがとうございます」


脚のリハビリを毎日頑張ったおかげで今ではほとんど松葉杖もいらない状態だった。まだ無理は出来ないけど足の筋力は戻って来たし自分の体重も支えられるようになった。


「これなら他に異常がなければ退院できると思いますよ」

「良かった…」

「ああでも脳外科にも行かないといけないんでしたね」

「あ…」


そうだった。もう頭の包帯は取れたのに脚のリハビリ意外にわたしは脳外科にもお世話になっている。

脳が重要な機能を持っていることは分かるけど、わたしからしたら自分の何がそんなに問題があるのかさっぱりなので行く意味が分からないのだ。

でも専門の先生が必要だというのだからそうなのだろう。素人では分からないことなどいっぱいある。


「やっぱり頭を打つっていうことは大変なことなんですか？リハビリの先生に尋ねても仕方のないことかもしれないですけど」

「そうですね。わたしは専門ではないので答えられませんが、やはり頭を打ったのなら慎重に検査はするべきだと思いますよ」

「そうですか…」


退院できたからといって脚は万全ではないのでまだ通院が必要になる。その上脳外科にまで通うことになると大変だなと思うから、できれば終わりにしたかったのだけれど。そう言われてしまったらしかたないよね。


「ありがとうございました」

「はい、お大事にして下さい」


先生に見送られて診察室を後にする。

病室に戻る途中、綺麗なマロン色の頭を2つ発見して無意識に顔が綻ぶのが分かった。最近はすっかり彼らがいる生活に慣れてしまった。退院したらそうではなくなるから少し寂しさを感じる。

でもこれだけお世話になってしまったから早く退院して彼らを安心させないといけない。そんな贅沢なこと思っては駄目だ。


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