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やっぱりジョングクの歌だし、ジョングクの歌声の方がしっくりくる。甘くて柔らかい声色。すっと耳に入り込んできて心地が良い。そうやって聞き惚れていたら、ジョングクは最後まで歌わずに辞めてしまった。
「あー!やっぱりAが歌う方が良い感じがする」
がしがしと頭をかきながらぼやく様子は不貞腐れた時に見せる表情で。少し唇を尖らせているのが可愛いと思ってしまった。
「何笑ってんの」
つんとわたしの頬を突くジョングクは変わらず不貞腐れていて、これ以上笑ったら機嫌悪くするかなと思って緩む口をしめた。
「はあ……どうせ踊れないし、この間に歌唱力あげたいな」
「十分だと思うけど……」
「Aが歌ってるの聞いてるとまだまだだと思う」
ジョングクはどこまでも高みを目指すから。わたしからしたらもう十分なんじゃないかって思ってもまだまだだって納得しない。もちろん努力し続けることは大事だと思うけど。
でもそれが更にジョングクを追い詰めているんじゃないかって、最近の様子を見て思う。もっと上手くなりたい、完璧にしたい、そう思って努力して自分を磨いてもきっと納得することはない。その次は更なるものを求め始めるから。
そうやって成長していくのだろうし、より良いものが出来上がるのだろうけど。成果ってそんな簡単に目に見えてこない。特に今は成長過程だって過ぎて十分成果が出た後だから尚更。
でもジョングクが求めるのものはどんどん大きくなってる。前はもっと早く結果が出たのにって思ってる。だから苦しいことになってるんだよね。
「わたしとジョングクの声質は違うし、魅せるものも違うからわたしと比べなくてもいいと思うよ」
「でもAの声を活かせるようにしたいし、俺の歌い方もAに負けないようにしたいと思うよ」
きっと何を言ってもジョングクは止めることはないんだよね。自分が納得しないと。アミ達に認められたって確信が持てないと。だからわたしは寄り添って一緒に頑張る事しかできない。
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jk - 大好きな藍さん。藍さんの小説が私の楽しい時間の1つです。これからも更新を楽しみにしています! (2022年1月24日 23時) (レス) id: 11363a0d46 (このIDを非表示/違反報告)
藍(プロフ) - みき(マルクル)さん» お久しぶりです!お返事遅くなってしまってすみません。そして大変お待たせしました。そう言ってくださる事が本当に励みになりますし、更新し続けられる活力になります。引き続き今まで以上にゆっくり更新になりますが、どうぞよろしくお願いします (2021年12月9日 22時) (レス) id: 10b94e4ad6 (このIDを非表示/違反報告)
みき(マルクル)(プロフ) - 藍さんのお話がまた読めて嬉しいです。ゆっくりで良いので、また楽しいお話を読み続けさせてください。 (2021年12月4日 1時) (レス) @page23 id: 61a241c77b (このIDを非表示/違反報告)
藍(プロフ) - みんさん» ただいまです!お返事遅くなってしまってすみません。1番大好きだなんて!それなのに長い間お待たせさせてしまって…お気遣いもありがとうございます。引き続きよろしくお願いしますね (2021年12月3日 19時) (レス) id: 10b94e4ad6 (このIDを非表示/違反報告)
みん(プロフ) - おかえりなさい!!1番大好きな小説が帰ってきてくれて幸せいっぱいです(﹡ˆᴗˆ﹡)♡ゆっくり藍さんのペースで無理せず更新してくださいね( ¨̮ )♩ (2021年11月28日 17時) (レス) @page20 id: d0e84fc41d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藍 | 作成日時:2021年11月20日 15時