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僕たちの半壊精神 ページ20

コツ、コツ、コツ

街灯の少ない暗い通りを早足のヒールの音が響く。

その後ろからひたひたと、まるで前を歩く彼女の歩みにあわせるように足音が寄り添っている。

コツ、コツ、コツ

ひた ひた ひた

「…また…?」

歩みを止めず、振り返らずに、女は呟く。いったい、後ろの人物は何を目的に自分の後をつけているのだろうか。

コツ、コツ、コツ
ひた ひた ひた

多少の薄気味悪さはあるものの、後をつけられる前から女の中からはもう“恐怖”という感情は消え失せていた。

あるのは、狂気、憎しみ
全ては自分から彼を奪った、あの女への


「…はぁ、」

やがて、女はマンションへと辿り着く。
後方にいるであろう顔も知らない誰かのことは気にしないふりをしてエレベーターに乗り込み、ボタンを押そうとエントランスのほうへ振り向く。

少し遅れてエントランスへと入りこんで来た全身を黒で纏った人物は、真っ直ぐに女のポストへと向かった。

「…え?なんで…?」

ゆっくりと動きだしたエレベーター。あわてて開くボタンを押すが、間に合わない。

「だれなのっ…!!」

2階で降りて、緊急用に設置された階段から急いでエントランスへと向かう。念のためそっと顔を出して見回すが、さっき自分のポストへと近づいていた人物はもう何処にもいない。

少し迷ってから、女は歩きだし冷たい鉄の取っ手に手をのばす。

そして、見つけた。


「あ…あはは、あは…!」

思わず漏れた笑い声。
狂気に満ちた、その声は静かなエントランスに響きわたった。



きっと、きっとさっきの人は神様なんだ…!


「ふふっ…ふふ、あははっ!」

きっと、可哀相な私に与えてくださったんだ

わたしから彼を奪い、わたしの彼に愛されたあの女を罰するチャンスを。


虚ろな目をした女は

手に持った紙を、ぐしゃり、握り潰した。

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noborders(プロフ) - 一気読みしちゃいましたー!更新待ってますので頑張ってくださいね! (2017年12月16日 7時) (レス) id: 9aa6e889b4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:リン | 作成日時:2017年11月24日 2時

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