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そっと腕時計を指で撫でて、そのまま耳で揺れるピアスも触れる。これもジョングクがくれたもの。
ああ、そういえば今日の指輪はジミンオッパが貸してくれたものだった。
ジョングクだけじゃない。オッパの物だってわたしの周りには溢れていて。どれも大切な物。無くしたくない物。
「大好きだよ……おっぱ……」
そっと指輪を外して、台の上に置く。
そのままポケットに入れていた携帯を取り出して、電源を切って机の上にそっと置く。
真っ暗な画面に映るわたしの顔は酷いもので。その中できらりと輝くピアスだけが綺麗だった。
でもこのピアスも置いていかなくちゃ。
お守りの様にずっと身に着けていたジョングクが買ってくれたピアス。
外してしまうのは怖かったけれど、でも持っていてはいけない気がしたから。大事な物だからこそ、置いていこうと思った。
ピアスも慎重に外して、指輪の隣に置く。
そのまま震える手で時計にも触れた。
腕時計は毎日外しているのに。今日は気持ちが違うからか、手が震えた。
クリスマスプレゼントだと、少し気恥ずかしそうに渡してくれたジョングク。
一緒に包を開けて中身を見た時とても驚いた。ジョングクも驚いた顔をしたけれど、すぐに嬉しそうな顔に変わった。
わたしも同じだった。本当に幸せな瞬間だった。
そんな腕時計を外さなければって思うことが辛かったけれど、そうも言ってられない。
同じように外した腕時計を並べてそっと置く。
自分の身の危険しか感じないから、迷惑をかけないようにと私物は全部置いてくことにした。
身に着けていた貰った物を全部外してしまえば、本当に寂しくて。
ああ、わたしは本当にジョングクやオッパ達に守られていたんだって思った。
「ごめんなさい……大好きだから……」
ジョングク……
貴方の名前を口にして愛してるとは言えなかった。
そっと控室を後にしてあの人が待っている物置に向かう。
また逆上して怖い目に遭うかもしれない。
それでもわたしはBTSを辞めたくないし、オッパ達からもジョングクからも離れたくなかった。
今までのような関係に戻れなくても同じグループにいたかった。
でも考えが甘かったみたい。
あの人はわたしの意見なんて、気持ちなんて、最初から考えているような人じゃなくて。
恐る恐るやってきたわたしを捕まえて動きを封じ込めて、怪しく笑った。
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藍(プロフ) - 咲さん» お返事遅くなってしまってすみません。そして不快な思いをさせてしまって申し訳ないです。ただネガティブ設定なのがこのマンネちゃんですので、もし合わないようでしたらこの先はあまりお勧めできません。ここまでお読み頂いてありがとうございました (2021年2月21日 21時) (レス) id: 66eaabbd56 (このIDを非表示/違反報告)
咲 - 主人公がネガティブすぎてイライラしてきました、、 (2021年2月4日 10時) (レス) id: 13ed79e527 (このIDを非表示/違反報告)
藍(プロフ) - ちさん» わあ!!ちゃんとこの世界観を保ったままのお話をお届けできて安心しました!わたしもこの2人を書いている時は幸せになります。こちらこそ素敵なお言葉をいつもありがとうございます!そしてお気遣いまで頂いて感謝です。来年もよろしくお願いしますね! (2020年12月31日 9時) (レス) id: 66eaabbd56 (このIDを非表示/違反報告)
ち(プロフ) - ひさしぶりの可愛い2人を見れて幸せです!この作品、周りのお兄ちゃんたちも優しくて大好きです^_^毎回楽しませてくれてありがとうございます!!これからも藍さんのペースで活動なさってくださいね(*^^*) (2020年12月30日 3時) (レス) id: 7a71588492 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藍 | 作成日時:2020年12月29日 18時