58.西洋風蝶草(secret moment) ページ8
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「ほそっ……」
びっくりして声を上げそうなわたしの唇を人差し指で制して「しーっ」と悪戯な笑みを浮かべる。
「まだ2人戻って来なさそうだったから。もうちょっとする?」
そう言ってぺろっと自分の唇を舐めるのはずるい。
こんな他人の目がある所で、しかもいつ2人が戻って来るか分からないのにキスしてくるなんて。
でもあんな触れるだけのキスじゃ物足りないなんて感じてしまう自分もどうかしているし、そんな風にされたら強請りたくなってしまう。
「しないの?」
「し、ないよ……みんな見てるよ」
「赤の他人じゃん。数時間後には忘れてるよ」
「それでも、しない」
「ざんねん。俺はしたかったのに」
ねぇ、だから。本当にホソクはわたしをどうしたいの。
なんでキスしてくるの。キスしたいって言うの。わたしで遊んでるの?反応が面白いから?
嬉しい気持ちもあるのに、苦しくてしょうがない。
「そんな顔するなよ。ちゃんと考えてするから」
そういうことじゃない。ホソクのキスの意味が分からないの。タイミングとか、人が居ない時とかそういうことじゃないのに。
「する、なら……ホソクの家がいい」
「……いいよ。帰り、うちおいでよ」
ああ、違うのに。自分からホソクの家に行きたいなんて言うつもりなんてなかったのに。
どうしてわたしは、こう誘惑に弱いんだろう。どうしてホソクを求めてしまうんだろう。こんなんじゃ本当に都合のいい女に自分からなってるようなものじゃない。
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「お待たせー!」
「結構買って来たな」
「だってどれも美味しそうだったから。あ、これはジミンくんのお勧めで、こっちはわたしのお勧めでーす」
「辛いの大丈夫ですか?これめっちゃ美味しいですよ〜」
にっこにこでトレイに沢山のものを乗せて戻って来た2人。これじゃあ軽く食べるんじゃなくて、がっつりランチじゃないの、なんて笑い合う。
「ランチはランチで食べるよ。ホソクが見つけてくれたパンケーキ屋さん行きたいもん」
「もうそれおやつじゃない?」
「わたしは食べれる!」
ふくれる友人にわたしが笑えばそんなことないと、反論する。テンションが高い2人にわたしの気持ちはついて行かなくて。
でもそんな雰囲気を出すこともできなくて、なんとか笑うことしかできなかった。
その間もテーブルの下でわたしとホソクの手は繋がったままだった。
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藍(プロフ) - aoi****007さん» コメントありがとうございます!確かにお互い敵意むき出しでしたもんね…くさずぺんの方には申し訳ないことをしました。同じ人を好きになった同士なのでそのうち仲良くなってることを祈ります笑 (2020年5月17日 9時) (レス) id: 7c0b28e720 (このIDを非表示/違反報告)
aoi****007 - クサズペンなので、喧嘩(?)してるところが、凄く複雑な気持ちだったけど 凄く面白かったです! (2020年5月16日 13時) (レス) id: 3e8c59420d (このIDを非表示/違反報告)
藍(プロフ) - 六花さん» 初めまして!ホソクペンの方にそう言って頂けてとても嬉しいです。長編ホソクさんは初めてだったので不安もありまして。わたしの大好きな色気だだ漏れホソクさんを感じ取れたということでしょうか?ありがたいです!懲りずにまたホソクのお話書ければなと思います! (2020年5月15日 0時) (レス) id: 7c0b28e720 (このIDを非表示/違反報告)
六花(プロフ) - ナムさんとの三角関係も拗れてもどかしくてもう胸がぎゅんぎゅんしました。素敵な作品をありがとうございました。長文失礼致しました。更新お疲れ様でした…! (2020年5月13日 15時) (レス) id: c1142a0fe4 (このIDを非表示/違反報告)
六花(プロフ) - 初めまして。完結おめでとうございます!いつも小説楽しませて頂いております。当方ホソクペンなのですが、不意に出るホソクさんの色気が藍さんの小説でめちゃくちゃに昇華されていて魅力が詰まりすぎていました…! (2020年5月13日 15時) (レス) id: c1142a0fe4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藍 | 作成日時:2020年5月2日 12時