77.花菱草(Do not refuse me) ページ27
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「ほそく……」
「ん?」
行為後、この前のようにわたしは気を失うまではいかなかったけれど、身体が怠いのは変わりなくて。家に行く前からホソクの家に泊まることは決まっていたから、安心してベッドに身体を寝かせていた。
怠くて動けないわたしとは違いホソクはまだ体力はあるようで、軽くシャワーを浴びて戻って来た。
そのままわたしから少し離れて同じベッドに横になるから。寂しくなってしまって名を呼んでしまった。でもそこから続きが言えない。
傍に寄っていい?もっとこっち来て?
ううん、本当は抱きしめてって言いたい。でも言えない。そんなわたしの顔を見て、不思議そうに顔を近付けてくる。そのおかげで距離が近くなって嬉しくなっちゃうから、そんなことでって単純な自分に笑えてくる。
「どうした?」
「……狭くない?」
「いまさら?さんざん同じベッドで寝てるじゃん」
「そう、なんだけど……いつもあまり意識ないから」
「確かに」
なんて笑いながらまた顔を元に戻してしまうから、空いてしまうわたしとホソクの距離。これがわたし達の本当の距離感なのかな。
彼氏彼女になれないわたし達。身体の関係はあるし、友人としてもそれなりに仲が良い方だと思う。よっぽど彼女より恋人っぽいことしている気がするし。
彼女もこうやって他の男と過ごしてると思うよ。ホソクは知ってる?知ってるから、ホソクもわたしと遊ぶの?
聞きたくても聞けないことばかり。わたしはホソクに自分の言いたいことも言えないし、聞きたいことも聞けない。本当に薄っぺらい関係だよね。
「もう寝る?」
「ん……疲れちゃったから」
「……抱き寄せていい?」
「っ……う、ん……」
まさかホソクからわたしが求めていた事を言われるなんて思わなくて。思わず泣きそうになる。
なんとか返事をして自分からホソクに寄れば、彼の程よく筋肉がついた腕が身体に回る。ぎゅっと抱きしめられて、どきどきする。
あんなに散々抱かれているし、ホソクだってわたしの裸は見慣れたなんていうのに。わたしは緊張と恥ずかしさで固まってしまうし、なんだかホソクもぎこちない気がする。
それはやっぱり恋人同士じゃないから?ちゃんとした関係になればもっと自然に抱きしめられる?
さっきからそんなことばかり考えてしまう。こんな疑似体験できてるだけでもマシだって思って、もっとこの現状に甘えられればいいのかな。
でもどうしても虚しさだけが最後には残るんだよ。
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藍(プロフ) - aoi****007さん» コメントありがとうございます!確かにお互い敵意むき出しでしたもんね…くさずぺんの方には申し訳ないことをしました。同じ人を好きになった同士なのでそのうち仲良くなってることを祈ります笑 (2020年5月17日 9時) (レス) id: 7c0b28e720 (このIDを非表示/違反報告)
aoi****007 - クサズペンなので、喧嘩(?)してるところが、凄く複雑な気持ちだったけど 凄く面白かったです! (2020年5月16日 13時) (レス) id: 3e8c59420d (このIDを非表示/違反報告)
藍(プロフ) - 六花さん» 初めまして!ホソクペンの方にそう言って頂けてとても嬉しいです。長編ホソクさんは初めてだったので不安もありまして。わたしの大好きな色気だだ漏れホソクさんを感じ取れたということでしょうか?ありがたいです!懲りずにまたホソクのお話書ければなと思います! (2020年5月15日 0時) (レス) id: 7c0b28e720 (このIDを非表示/違反報告)
六花(プロフ) - ナムさんとの三角関係も拗れてもどかしくてもう胸がぎゅんぎゅんしました。素敵な作品をありがとうございました。長文失礼致しました。更新お疲れ様でした…! (2020年5月13日 15時) (レス) id: c1142a0fe4 (このIDを非表示/違反報告)
六花(プロフ) - 初めまして。完結おめでとうございます!いつも小説楽しませて頂いております。当方ホソクペンなのですが、不意に出るホソクさんの色気が藍さんの小説でめちゃくちゃに昇華されていて魅力が詰まりすぎていました…! (2020年5月13日 15時) (レス) id: c1142a0fe4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藍 | 作成日時:2020年5月2日 12時