【HS】Datura 2

75.赤い和蘭石竹(myheart aches foryou) ページ25

.


考えれば考えるほど分からなくて。でもホソクの彼女には他に男がいるっていう考えはどんどん強くなって。それは自分の願望だけじゃないと思う。

だってホソク言ってた。向こうも好きにしてるって。お互い自由にしてるって。

ホソクが自由にわたしと会ってるなら、彼女だって同じことしててもおかしくないんじゃ。

何度も思ったじゃない。休日も合わないようなカップルで、彼女だって好きに遊んでるんじゃないかって。だったらわたしにホソクを頂戴って。

それが本当だったってこと……？

どうしよう。ホソクに聞いてみる？知ってたの？って。それならあなた達の関係はなに？って。

そんな状態でも彼氏彼女なのかな。別れるつもりはないのかな。2人の関係性が分からない。

ねえ……お互い相手がいるならわたしじゃ駄目なの？わたしはこんなにホソクを欲しているのに。そこまでの気持ちなのにホソクの隣にいるなんてずるいよ。





気持ちがぐちゃぐちゃで。気付いたら自分の家に戻っていた。

どうしよう。どんな顔してホソクに会えばいい？全部知らないフリしてホソクに抱かれればいい？

そんなことわたしに出来るかな。でもホソクと顔を合わせたら、彼女のことを聞けるかなんて分からなかった。

ぐるぐるといろんな考えが巡って、ただただ時間だけが過ぎ去った。でも答なんて出なくて。

いつもならホソクに会う前にシャワー浴び終えて、また一から化粧して服選んでって準備するのに。今日はそんなこともせずに、ただただじっとホソクと彼女のことを考えていた。




**





「ごめん、かなり遅くなった」

「ううん、遅くまでお疲れ様」


気付けばホソクからバイトが終わったと連絡がきてしまって。考えがまとまらないまま、ゆっくりと最寄り駅まで向かった。

暫くして現れたホソクは少し疲れている表情で、そんな時でも会おうとしてくれるホソクに愛おしさを感じて。もう何でもいいかななんて、そんなことまで思ってしまう。


「いつもより遅いしさ、今日は泊まっていけば？」

「え……？」


まさか家に行く前からそんなこと言われるとは思ってなくて呆けてしまう。


「あ、別に帰りたいならいいけど」


そんな突き放すようなこと言わないでよ。ホソクが居てもいいっていうなら、いつまででも傍に居たと思うのに。


「えっと……ほそく、がいいなら」


それだけを言うのが精一杯で。でもホソクは軽く「当たり前」なんて笑って言うんだ。


.

76.胡蝶蘭(happiness flied to me)→←74.深紅の天竺葵(melancholy)

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す